【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 *リルピビリン塩酸塩を投与中の患者

効能・効果

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群

用法・用量

  • 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群〉

通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして1回10mgを1日1回経口投与するが、病状により1回20mgを1日1回経口投与することができる。なお、通常、胃潰瘍、吻合部潰瘍では8週間まで、十二指腸潰瘍では6週間までの投与とする。

  • 〈逆流性食道炎〉

逆流性食道炎の治療においては、通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして1回10mgを1日1回経口投与するが、病状により1回20mgを1日1回経口投与することができる。なお、通常、8週間までの投与とする。また、プロトンポンプインヒビターによる治療で効果不十分な場合、1回10mg又は1回20mgを1日2回、さらに8週間経口投与することができる。ただし、1回20mg1日2回投与は重度の粘膜傷害を有する場合に限る。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1 本剤の投与中には、血液像や肝機能に注意し、定期的に血液学的検査・血液生化学的検査を行うことが望ましい。
  • 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍〉
  1. 8.2 長期の使用経験が十分でないので、維持療法には用いないことが望ましい。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者

9.3 肝機能障害患者

肝硬変患者で肝性脳症の報告がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット経口400mg/kg、ウサギ静注30mg/kg)で胎児毒性(ラットで化骨遅延、ウサギで体重の低下、化骨遅延)が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

消化器症状等の副作用があらわれた場合は休薬するなど慎重に投与すること。本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多く、副作用があらわれることがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
Al-P 1〜5%未満
ALT 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
CKの上昇 1%未満
LDHの上昇 1〜5%未満
lymphocytic colitis) 頻度不明
γ-GTP 1〜5%未満
かすみ目 1%未満
カンジダ症 1%未満
しびれ感 1%未満
せん妄 頻度不明
ふらつき 1%未満
めまい 1%未満
リンパ球減少 1%未満
下痢 1〜5%未満
低マグネシウム血症 頻度不明
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1%未満
動悸 1%未満
口のもつれ 1%未満
口内炎 1〜5%未満
口渇 1%未満
嘔吐 頻度不明
嘔気 1〜5%未満
四肢脱力 1%未満
失見当識 1%未満
女性化乳房 頻度不明
好中球増多 1%未満
好酸球増多 1〜5%未満
握力低下 1%未満
昏睡 頻度不明
浮腫 1%未満
瘙痒感 1〜5%未満
発熱 1%未満
発疹 1〜5%未満
白血球増加 1〜5%未満
白血球減少 1〜5%未満
目のちらつき 頻度不明
眠気 1%未満
知覚鈍麻 1%未満
筋肉痛 頻度不明
総コレステロール・中性脂肪・BUNの上昇 1〜5%未満
総ビリルビンの上昇 1%未満
胃もたれ 1%未満
脱毛症 1%未満
腹痛 1%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
舌炎 頻度不明
苦味 1%未満
蕁麻疹 1%未満
蛋白尿 1〜5%未満
血中TSH増加 1〜5%未満
血圧上昇 1〜5%未満
貧血 1〜5%未満
赤血球減少 1%未満
関節痛 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
顕微鏡的大腸炎(collagenous colitis 頻度不明
食欲不振 1%未満
高アンモニア血症 頻度不明
鼓腸 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は酸分泌細胞の酸性領域で活性体(スルフェンアミド体)になり、プロトンポンプ(H+、K+-ATPase)のSH基を修飾して酵素活性を阻害し、酸分泌を抑制する。さらに阻害された酵素活性の回復には、主に作用部位からの薬物の消失あるいはグルタチオンによる活性体の消失が関与しているものと考えられる。その他、グルタチオンによって酵素活性が回復する可能性も推測される。

18.2 胃酸分泌抑制作用

  1. 18.2.1 健康成人男子におけるガストリン刺激酸分泌に対し、1日1回10mg投与、1日1回20mg投与でともに投与初日から著明な抑制作用を示し、投与1日目及び7日目の酸分泌量の減少率は1日1回10mg投与で72~76%、90~96%、1日1回20mg投与で88~89%、99%である16),17)。

  2. 18.2.2 ウサギ摘出胃腺標本におけるジブチリルサイクリックAMP刺激による胃酸分泌を抑制する18)(in vitro)。

  3. 18.2.3 慢性胃ろう管装着犬におけるヒスタミン、ペンタガストリン刺激胃酸分泌、並びにラットにおける基礎胃酸分泌及びヒスタミン刺激胃酸分泌に対し強力な抑制作用を示す18),19),20)。 イヌあるいはラットにおける胃酸分泌抑制作用の回復は、他のプロトンポンプ阻害剤に比較し速く、血中ガストリンの上昇は少ない18),21)。

18.3 胃内pH上昇作用

健康成人男子における胃内pHに対し、1日1回5mg投与、1日1回10mg投与、1日1回20mg投与でともに著明な上昇作用を示し、投与5日目の24時間中にpH4以上を示す時間の割合は1日1回5mg投与のEM※で46%、PM※で63%、1日1回10mg投与のEM※で58%、PM※で72%、1日1回20mg投与のEM※で61%、PM※で76%である2)。

※肝代謝酵素チトクロームP450 2C19(CYP2C19)表現型は、下記遺伝子型より分類される。 EM(extensive metabolizer):CYP2C19*1/*1、CYP2C19*1/*2又はCYP2C19*1/*3 PM(poor metabolizer):CYP2C19*2/*2、CYP2C19*2/*3又はCYP2C19*3/*3

18.4 H+、K+-ATPase阻害作用

ブタ胃粘膜より調製したH+、K+-ATPaseに対し、強い阻害作用を示す22),23) (in vitro)。

18.5 抗潰瘍作用

ラットを用いた各種実験潰瘍あるいは実験胃粘膜病変(寒冷拘束ストレス、水浸拘束ストレス、幽門結紮、システアミン、塩酸-エタノール及びアスピリン)に対し、強い抗潰瘍作用あるいは胃粘膜病変改善作用を示す19),24),25)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人男子に20mgを絶食下又は食後に経口投与した時の各時間における平均血漿中濃度推移を下図に示す。また、絶食下、食後投与での被験者毎に算出した薬物動態パラメータの平均値を表に示す1)。

ラベプラゾールナトリウム20mgの摂食下及び絶食下投与時の血漿中濃度(Mean+S.D., n=12 健康成人男子)

投与条件 Cmax (ng/mL) tmax (hr) AUC (ng・hr/mL) t1/2 (hr)
絶食下 437±237 3.6±0.9 937±617 1.49±0.68
食後 453±138 5.3±1.4 901±544 1.07±0.47
(Mean±S.D., n=12)

また、健康成人男子に5mg、10mg、20mgを絶食下で反復投与した時(投与5日目)の薬物動態パラメータは以下のとおりである2)。

投与量 表現型 Cmax (ng/mL) tmax (hr) AUC(0-t) (ng・hr/mL) t1/2 (hr)
5mg EM※ 146±56 3.0(2.0-4.5) 236±97 1.8±0.9
PM※ 252±55 2.5(1.5-5.5) 585±137 4.2±0.5
10mg EM※ 383±83 3.3(2.0-5.0) 539±200 1.5±0.4
PM※ 509±64 2.8(2.0-4.5) 1230±200 3.8±0.3
20mg EM※ 654±348 4.0(2.5-8.0) 994±477 2.3±1.4
PM※ 822±232 3.3(3.0-6.0) 2331±663 3.7±0.3
(Mean±S.D., tmaxはMedian(Min-Max),EM n=16,PM n=8)※肝代謝酵素チトクロームP450 2C19(CYP2C19)表現型は、下記遺伝子型より分類される。 EM(extensive metabolizer):CYP2C19*1/*1、CYP2C19*1/*2又はCYP2C19*1/*3 PM(poor metabolizer):CYP2C19*2/*2、CYP2C19*2/*3又はCYP2C19*3/*3

16.2 吸収

  1. 16.2.1 食事の影響

健康成人男子に20mgを絶食下又は食後に経口投与した時、食後投与では絶食下投与に比しtmaxが1.7時間遅延するとともに吸収に個体差が認められている1)。

16.4 代謝

健康成人男子に10mg、20mgを経口投与した時の血漿中の代謝物は、主に非酵素的な還元反応により生成したチオエーテル体であった。その他に肝代謝酵素チトクロームP450 2C19(CYP2C19)が関与する脱メチル化反応により生成した脱メチル体、3A4(CYP3A4)が関与するスルホン化反応により生成したスルホン体が認められた1),3),4)。

16.5 排泄

健康成人男子に20mgを経口投与した場合、投与後24時間までに尿中にラベプラゾールナトリウムの未変化体は検出されず、代謝物であるカルボン酸体及びそのグルクロン酸抱合体が投与量の約29~40%、メルカプツール酸抱合体が13~19%排泄された3)。

16.7 薬物相互作用

類薬(オメプラゾール)で肝代謝酵素チトクロームP450 2C19(CYP2C19)への代謝競合により相互作用が認められているジアゼパム、ワルファリン(R-ワルファリン)に対して本剤はこれらの薬剤の血中濃度に影響を与えないことが報告されている。また、類薬(ランソプラゾール)で肝代謝酵素チトクロームP450 1A2(CYP1A2)の誘導により相互作用が認められているテオフィリンに対しても本剤は血中濃度に影響を与えないことが報告されている4),5)。