がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌
【警告】
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人には、タスルグラチニブとして1日1回140mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
-
8.1 高リン血症があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血清リン濃度を測定し、血清リン濃度の変動に注意すること。,
-
8.2 網膜剥離があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に眼科検査を行うなど観察を十分に行うこと。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。,
9.3 肝機能障害患者
本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.4 生殖能を有する者
-
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
-
9.4.2 男性には、本剤投与中及び最終投与後6日間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた生殖発生毒性試験において、臨床曝露量未満に相当する用量で催奇形性(骨格、内臓及び外表異常等)が報告されている。,
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 | 症状・説明 |
|---|---|---|
| ALP増加 | 頻度不明 | — |
| ALT増加 | 頻度不明 | — |
| AST増加 | 頻度不明 | — |
| CK増加 | 頻度不明 | — |
| γ-GTP増加 | 頻度不明 | — |
| ドライアイ | 頻度不明 | — |
| ヘモグロビン減少 | 頻度不明 | — |
| リパーゼ増加 | 頻度不明 | — |
| リンパ球減少 | 頻度不明 | — |
| 下痢(33.3%) | 頻度不明 | — |
| 不眠症 | 頻度不明 | — |
| 低アルブミン血症 | 頻度不明 | — |
| 低カリウム血症 | 頻度不明 | — |
| 低クロール血症 | 頻度不明 | — |
| 低ナトリウム血症 | 頻度不明 | — |
| 低マグネシウム血症 | 頻度不明 | — |
| 低リン血症 | 頻度不明 | — |
| 便秘 | 頻度不明 | — |
| 倦怠感 | 頻度不明 | — |
| 口内乾燥 | 頻度不明 | — |
| 口内炎(24.6%) | 頻度不明 | — |
| 口渇 | 頻度不明 | — |
| 口腔内潰瘍形成 | 頻度不明 | — |
| 味覚障害(24.6%) | 頻度不明 | — |
| 咽頭炎 | 頻度不明 | — |
| 嘔吐 | 頻度不明 | — |
| 好中球減少 | 頻度不明 | — |
| 尿中白血球陽性 | 頻度不明 | — |
| 尿中蛋白陽性 | 頻度不明 | — |
| 悪心 | 頻度不明 | — |
| 手掌・足底発赤知覚不全症候群(49.3%) | 頻度不明 | — |
| 抱合ビリルビン増加 | 頻度不明 | — |
| 点状角膜炎 | 頻度不明 | — |
| 爪囲炎(26.1%) | 頻度不明 | — |
| 爪障害(72.5%) | 頻度不明 | — |
| 疲労 | 頻度不明 | — |
| 瘙痒症 | 頻度不明 | — |
| 発疹 | 頻度不明 | — |
| 白内障 | 頻度不明 | — |
| 白血球減少 | 頻度不明 | — |
| 皮膚乾燥 | 頻度不明 | — |
| 皮膚亀裂 | 頻度不明 | — |
| 眼球乾燥症 | 頻度不明 | — |
| 網膜下液 | 頻度不明 | — |
| 肝損傷 | 頻度不明 | — |
| 脱毛症 | 頻度不明 | — |
| 腹痛 | 頻度不明 | — |
| 腹部膨満 | 頻度不明 | — |
| 血中クレアチニン増加 | 頻度不明 | — |
| 血中ビリルビン増加 | 頻度不明 | — |
| 血小板減少 | 頻度不明 | — |
| 角膜上皮欠損 | 頻度不明 | — |
| 角膜混濁 | 頻度不明 | — |
| 角膜炎 | 頻度不明 | — |
| 角膜障害 | 頻度不明 | — |
| 過角化 | 頻度不明 | — |
| 関節痛 | 頻度不明 | — |
| 霧視 | 頻度不明 | — |
| 食欲減退 | 頻度不明 | — |
| 食道炎 | 頻度不明 | — |
| 高カルシウム血症 | 頻度不明 | — |
| 高尿酸血症 | 頻度不明 | — |
| 高血圧 | 頻度不明 | — |
| 黄斑変性 | 頻度不明 | — |
| 黄斑浮腫 | 頻度不明 | — |
| 鼻乾燥 | 頻度不明 | — |
| 鼻出血 | 頻度不明 | — |
| 鼻炎 | 頻度不明 | — |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
タスルグラチニブは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のチロシンキナーゼ活性を阻害する低分子化合物である。タスルグラチニブは、FGFR融合タンパク等のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている9),10) 。
18.2 抗腫瘍効果
タスルグラチニブは、FGFR融合タンパクを発現する胆管癌患者由来CC6204腫瘍組織片を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した11) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1 単回及び反復投与
日本人進行固形癌患者3例に本剤140mgを1日1回反復経口投与したときの、投与8日目の血漿中タスルグラチニブ及びM2(タスルグラチニブの主要な活性代謝物)の濃度推移を図に、初回投与後及び反復投与8日目の薬物動態パラメータを表に示した。反復投与8日目の薬物動態は、初回投与の結果から推測可能であり、タスルグラチニブ及びM2のAUC(0-24h)の累積係数の平均値は1.97及び2.35であった1) 。
進行固形癌患者に本剤140mgを1日1回反復経口投与したときの投与8日目の血漿中タスルグラチニブ及びM2濃度(平均値+標準偏差)
| 投与時期 | 例数 | Cmax (ng/mL) | tmax (h) | AUC(0-24h) (ng・h/mL) | t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|---|
| タスルグラチニブ | |||||
| 単回投与 | 3 | 227 (118) | 4.88 (3.00、5.08) | 2460 (1580) | 18.3 (5.13) |
| 反復投与 8日目 | 3 | 372 (173) | 5.00 (2.98、5.08) | 4800 (3480) | − |
| M2 | |||||
| 単回投与 | 3 | 63.8 (36.1) | 5.00 (4.88、5.08) | 741 (290) | 26.0 (8.52) |
| 反復投与 8日目 | 3 | 106 (51.8) | 5.00 (2.98、5.08) | 1620 (460) | − |
| 平均値(標準偏差)、ただしtmaxは中央値(最小値、最大値) | |||||
16.2 吸収
- 16.2.1 食事の影響
健康成人14例に本剤35mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食(約800-1000kcal、脂質含量約50%)後投与におけるタスルグラチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.672及び0.771であり、tmaxは1時間遅延した。また、M2のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.532及び0.702であり、tmaxは空腹時投与と高脂肪食後投与で同程度であった2) 。
16.3 分布
タスルグラチニブ及びM2のヒト血漿蛋白結合率(in vitro)は、それぞれ約93.7%(検討濃度:100~3000ng/mL)及び約90.0%(検討濃度:30~1000ng/mL)であった。タスルグラチニブ及びM2は、アルブミン、α1-酸性糖蛋白質及びγ-グロブリンのうち、アルブミンに対して最も強い結合を示した3) 。
16.4 代謝
タスルグラチニブは、主としてCYP4F12を介してM2に代謝され、CYP2J2及びCYP3A4によっても代謝された。M2はCYP2J2、CYP3A4及びCYP4F12によって代謝された4) (in vitro)。健康成人8例に14C標識体を含む本剤35mgを単回経口投与したとき、投与後48時間までの血漿中において主に未変化体、M2及びM9(M2の酸化誘導体)が検出された(血漿中総放射能に対する割合は、それぞれ30.9、20.6及び12.3%)5) (外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人8例に14C標識体を含む本剤35mgを単回投与したとき、投与後672時間までに投与した放射能の79.7%が糞中、5.84%が尿中に排泄された。投与後672時間までの糞及び尿中における未変化体の割合(投与放射能に対する割合)は、それぞれ32.08及び2.05%であった。また、糞及び尿中における主な代謝物としてM2が検出された(投与放射能に対する割合は、それぞれ30.53及び2.55%)5) (外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1 ラベプラゾール
健康成人14例にラベプラゾール20mgを1日1回反復経口投与し、本剤35mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するラベプラゾール併用時のタスルグラチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.07及び1.08であり、M2のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.09及び1.18であった6) 。
- 16.7.2 リファンピシン
健康成人14例にリファンピシン600mgを1日1回反復経口投与し、本剤35mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するリファンピシン併用時のタスルグラチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.02及び0.841であり、M2のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.25及び0.878であった7) 。
- 16.7.3 その他
タスルグラチニブ及びM2はP-gpの基質である。また、タスルグラチニブはCYP3A、CYP4F12及びMATE1を阻害し、CYP1A2、CYP2B6及びCYP3Aを誘導した。さらに、タスルグラチニブがP-gp及びBCRPを阻害する可能性が示唆された。M2はMATE1を阻害した(in vitro)。