【警告】

  1. 1.1 本剤の投与により脳出血が発現し、死亡が認められている。,

  2. 1.2 本剤の投与に際しては「2.禁忌」及び「8.重要な基本的注意」等に留意し、適用患者の選択及び急性肺塞栓症患者に投与する場合には投与量の選択を慎重に行うこと。また、投与中及び投与後の患者の出血の有無を十分確認するとともに、血液凝固能などの血液検査・臨床症状の観察を頻回に行うこと。,

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 出血している患者(消化管出血、尿路出血、後腹膜出血、頭蓋内出血、喀血)[出血をさらに助長し、止血が困難になるおそれがある。]

  2. 2.2 出血を起こすおそれの高い以下の患者[出血を惹起し、止血が困難になるおそれがある。]

  • 頭蓋内あるいは脊髄の手術又は障害を受けた患者(2カ月以内)

  • 頭蓋内腫瘍、動静脈奇形、動脈瘤のある患者

  • 出血性素因のある患者

  • 重篤な高血圧症患者

  1. 2.3 デフィブロチドナトリウムを投与中の患者

効能・効果

  • 急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)

  • 不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症における肺動脈血栓の溶解

用法・用量

  • 〈急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)〉

通常、成人には体重kgあたりモンテプラーゼ(遺伝子組換え)として27,500IUを静脈内投与する。

  • 〈不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症における肺動脈血栓の溶解〉

通常、成人には体重kgあたりモンテプラーゼ(遺伝子組換え)として13,750~27,500IUを静脈内投与する。なお、1回最大投与量は27,500IU/kgまでとすること。

投与に際しては、1mLあたり80,000IUとなるように日本薬局方生理食塩液で溶解し、1分間あたり約10mL(800,000IU)の注入速度で投与する。なお、本剤の投与は発症後できるだけ早期に行う。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1 本剤は静脈内投与により使用し、点滴静注では使用しないこと。

  2. 8.2 本剤の投与は、CCU又はこれに準ずる設備を有する施設において実施し、心電図のモニタリングや動脈血ガスなど継続して患者の状態の観察を十分に行い、望ましくない変化があらわれた場合は、適切な処置を行うこと。

  3. 8.3 本剤はt-PA製剤に比較して出血の頻度が高まる可能性があり、特に本剤の投与により脳出血等の重篤な出血が起こることがあるので、次の点に十分注意すること。,

  4. 8.3.1 本剤の通常用量を超える用量及び75歳以上の高齢者で脳出血の危険性が高まるので、これらの患者には他の治療法の可能性も含め本剤の適用を慎重に検討すること。急性心筋梗塞対象の臨床試験では65歳を超える高齢者で脳出血が発生し、通常用量を超える用量で脳出血の頻度が高まった。また、t-PA製剤では75歳以上で脳出血の頻度が高まるとの報告がある。

  5. 8.3.2 本剤の投与により出血が認められることがあるので、他の血栓溶解剤を投与する場合は、出血の遷延・重症化に影響を及ぼす可能性があることから、本剤投与60分後以降に開始し、その投与量をできる限り少量にとどめるなどの配慮を行うこと。また、血液凝固阻止作用を有する薬剤及び血小板凝集抑制作用を有する薬剤は本剤投与後早期の使用により出血の危険性が増大するので、出血の有無を十分確認するとともに血液凝固能などの血液検査・臨床症状の観察を頻回に行うこと。なお、またこれらの薬剤を投与する場合は、その必要性を慎重に検討するとともに、その投与時期及び投与量に十分注意すること。,,

  6. 8.3.3 投与中及び投与後は患者の臨床症状の観察を十分に行い出血の早期発見に留意すること。また、血液凝固能などの血液検査を頻回に行うこと。

  7. 8.3.4 穿刺部位等からの出血を防止するため動脈・静脈穿刺の方法、管理等に十分注意すること。特に動脈穿刺を行う場合は注意深くモニターする必要がある。

  8. 8.4 本剤は蛋白製剤であり、再投与によりアナフィラキシー等の反応が起きる可能性は否定できないので、再投与をする場合には注意して行うこと。万一、アナフィラキシー様の反応が起きた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  • 〈急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)〉
  1. 8.5 冠動脈血栓の溶解にて血流が再開通することにより、不整脈(再灌流不整脈)があらわれることがあるので、特に心室細動、心室頻拍等の重篤な不整脈に注意して心電図のモニタリングなどの観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。

  2. 8.6 本剤の投与開始後に心破裂、心室中隔穿孔、心タンポナーデに至る心囊液貯留が起こることがあるので、十分注意すること。特に65歳以上の高齢者では心破裂及び心室中隔穿孔の危険性が高まるので、これらの患者には他の治療法の可能性を含め本剤の適用を慎重に検討すること。急性心筋梗塞対象の臨床試験において、65歳以上の高齢者又は前壁梗塞で心破裂、心室中隔穿孔及び心囊液貯留の発生頻度が高まった。

  3. 8.7 ヘパリンは、再閉塞防止の意味で本剤との併用若しくは本剤の後療法に用いる。ただし、脳出血等の重篤な出血を起こすことがあるので、本剤投与後6時間以内はヘパリンの投与をできる限り控えること。急性心筋梗塞対象の臨床試験では本剤投与4~6時間後のヘパリン点滴静注時に脳出血が発生している。,,

  • 〈不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症における肺動脈血栓の溶解〉
  1. 8.8 基礎治療としてヘパリンを併用する場合、出血の危険性があるため、出血の確認とヘパリンの投与量の調整を行うこと。ヘパリン投与量は、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が正常値の2倍前後(1.5~2.5)になるように注意して調整すること。,,,

  2. 8.9 本剤投与後に再発が起こることがあるので十分注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 出血するおそれがある以下の患者

出血を惹起するおそれがある。

  • 大手術、臓器生検、血管穿刺(動注療法、動脈穿刺等)後日の浅い患者(10日以内)

  • 外傷後日の浅い患者(10日以内)

  • 脳血管障害の既往歴のある患者

  • 消化管潰瘍、消化管の憩室炎、大腸炎のある患者

  • 活動性結核のある患者

  • 月経期間中の患者

  • 糖尿病性出血性網膜症又は他の出血性眼疾患のある患者

  1. 9.1.2 左心房内血栓の疑いのある患者(心房細動を伴う僧帽弁狭窄症患者等)

脳塞栓を惹起するおそれがある。

  1. 9.1.3 亜急性細菌性心内膜炎又は急性心膜炎のある患者

脳塞栓又は心囊液貯留を惹起するおそれがある。

  1. 9.1.4 脳梗塞のある患者

出血性脳梗塞を惹起するおそれがある。

  1. 9.1.5 本剤又は蛋白製剤に対して過敏症の既往歴のある患者

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 重篤な腎障害のある患者

代謝・排泄能の低下により、本剤の作用が増強することがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重篤な肝障害のある患者

代謝・排泄能の低下により、本剤の作用が増強することがある。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1 妊婦又は分娩・流早産後日の浅い患者(2週間以内)には、治療での有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 製造販売後の調査において、妊婦又は分娩・流早産後日の浅い患者(2週間以内)で分娩に関連した出血をともなう副作用が報告されている。本剤の投与により出血を惹起するおそれがある。

  2. 9.5.2 妊娠している可能性のある女性には、治療での有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ウサギ)では高用量投与時に胚・胎児死亡の増加傾向及び流産が報告されており、本剤の線維素溶解作用からみて、早期胎盤剝離が起こる可能性が考えられる。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

出血の危険性が高まるおそれがある。また、急性心筋梗塞では心破裂及び心室中隔穿孔の危険性が高まるおそれがある。,

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
LDH上昇 1〜5%未満
クレアチニン上昇 1〜5%未満
不整脈注1) 5%以上
創部出血 1〜5%未満
口腔内出血 1〜5%未満
呼吸困難 1%未満
嘔吐 1%未満
尿蛋白 1〜5%未満
心囊液貯留 1〜5%未満
悪寒 1%未満
悪心 1%未満
歯肉出血 1〜5%未満
発疹 1%未満
皮下出血 1〜5%未満
穿刺部出血 1〜5%未満
総ビリルビン上昇 1%未満
血圧低下 1%未満
血小板数の減少 1〜5%未満
血尿 1〜5%未満
赤血球数・ヘモグロビン量・ヘマトクリット値の減少 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本薬はフィブリンに対して親和性を有し、そのプラスミノゲン活性化能はフィブリンにより増強される。このため、本薬は血栓部位でプラスミノゲンをプラスミンに活性化させることによりフィブリンを分解し、血栓を溶解する6)。

18.2 血栓溶解作用

  1. 18.2.1 イヌ冠動脈血栓モデルにおいて、本薬は急速静注で用量に依存した血栓溶解作用を示し、閉塞冠動脈を再開通した。血液凝固線溶因子のフィブリノゲン、プラスミノゲンの変動は軽度であった7)。

  2. 18.2.2 ブタ冠動脈内皮傷害モデルにおいて、本薬は閉塞冠動脈の再開通を示した8)。

  3. 18.2.3 イヌ冠動脈血栓モデルにおいて、本薬の閉塞冠動脈再開通によって左室機能は速やかに回復した9)。

  4. 18.2.4 マウス肺塞栓症モデルにおいて、本薬は致死抑制効果を示した10)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人男子にモンテプラーゼ(遺伝子組換え)738,000IU(6.0mg)を3分間で単回静脈内投与した時の血漿中モンテプラーゼ濃度をELISA法及びフィブリンプレート法により測定したところ、下図のように推移した。 ELISA法では、投与開始後5分の平均血漿中濃度は1,643.45ng/mLで、以後、ほぼ2相性に消失した。消失半減期はα相が23.66分、β相が7.82時間であった。 フィブリンプレート法では、投与開始後5分の平均血漿中濃度は1,492.63ng/mLで、以後、ほぼ2相性の消失傾向を示した。しかし、測定感度の点からβ相は最初の1~2点しか測定できなかったため、1-コンパートメントモデルによる解析を行ったところ、消失半減期は29.43分であった。 61,500~738,000IUの用量範囲内では、最高血漿中濃度、血漿中濃度-時間曲線下面積はほぼ投与量に比例して増加し、体内薬物動態に線形性が認められた1)。

モンテプラーゼ738,000IU(6.0mg)単回静脈内投与時の血漿中濃度 (Mean±S. E. M., n=4)

Cmax (ng/mL) AUC (ng・hr/mL) t1/2α(min) t1/2β(hr) CL (mL/min/kg)
t1/2(min)
1,643.45±113.69 4,454.94±587.05 23.66±5.21 7.82±0.57 0.35±0.07
1,492.63±165.75 1,081.53注2)±111.38 29.43±4.58 1.41±0.17
(Mean±S.D., n=4)注2)台形法により0~8時間値から算出した値であり、CLも同値を用いて算出。

16.5 排泄

健康成人男子にモンテプラーゼ(遺伝子組換え)492,000IU(4.0mg)を3分間で単回静脈内投与した時の尿中モンテプラーゼ濃度をELISA法により検討した結果、尿中にモンテプラーゼは検出されなかった1)。