下記疾患における高アンモニア血症の急性増悪において経口製剤により調節不能な場合の緊急的血中アンモニア濃度の低下
- 先天性尿素サイクル異常症[カルバミルリン酸合成酵素欠損症、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症、アルギニノコハク酸合成酵素欠損症(シトルリン血症)、アルギニノコハク酸分解酵素欠損症(アルギニノコハク酸尿症)]又はリジン尿性蛋白不耐症
アルギナーゼ欠損症の患者[アルギニン血症を増悪させる。]
下記疾患における高アンモニア血症の急性増悪において経口製剤により調節不能な場合の緊急的血中アンモニア濃度の低下
通常、1日量として、体重1kg当たり2~10mLを1時間以上かけて点滴静注する。
8.1 本剤により高アンモニア血症の改善がみられなかった場合、腹膜透析、血液透析あるいは交換輸血等の治療も行い適切な併用処置を講ずること。
8.2 塩酸塩を大量に投与することにより高クロール性アシドーシスになることがあるので、血液pH等を観察し、投与すること。なお、アシドーシスの可能性がある場合は本剤の投与を中止し、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ化剤を投与する等の適切な処置を講ずること。
本剤に含まれるクロールによりアシドーシスが悪化するおそれがある。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。アナフィラキシーが発現するおそれがある。
症状が一時的に悪化することがある。
アミノ酸の代謝産物である尿素等が滞留し、症状が悪化するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
| 副作用名 | 頻度 | 症状・説明 |
|---|---|---|
| 一過性の嘔気 | 頻度不明 | — |
| 発疹 | 頻度不明 | — |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 | — |
尿素サイクルではオルニチン、シトルリン、アルギニノコハク酸、アルギニンの4種類のアミノ酸が酵素を利用しサイクルを形成している。 アルギナーゼ欠損症を除く尿素サイクル異常症については、基質であるアルギニンを外部から補充することにより、残存酵素が活性化され、部分的に欠損している尿素サイクルが円滑に回転して、尿中排泄性の高い尿素、シトルリン、アルギニノコハク酸による窒素排泄が促進され、血中アンモニアが減少する5),6),7)。
カルバミルリン酸合成酵素欠損症、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症、シトルリン血症及びアルギニノコハク酸尿症の患者において蛋白制限治療とともにアルギニンを投与した結果、臨床症状の改善、血中アンモニア及びグルタミン濃度の低下、尿素生成量の増加並びに尿中オロト酸排泄量の減少などの生化学的指標の改善が認められている5),6),7)。
18.3.1 ラット肝ホモジネートあるいは単離ミトコンドリアを用いたin vitroでのオルニチントランスカルバミラーゼ及びカルバミルリン酸合成酵素活性に対するアルギニン添加試験において、いずれの酵素活性も有意に上昇させることが認められた8)。
18.3.2 ラット及びマウスの肝ミトコンドリアを用いたin vitro試験において、アルギニンがN-アセチルグルタミン酸合成酵素活性を亢進することが認められた9)。
健康成人(外国人8名)にL-アルギニン塩酸塩を3、9、15及び21mg/kg/minの投与速度で30分間静脈内に持続投与したとき、投与終了後のアルギニンの血清中濃度はそれぞれ1.17、3.44、6.84及び9.25mmol/Lであった。代謝クリアランスは10.6~12.8mL/min/kgであり、消失半減期は15mg/kg/min以下の投与速度で約15分、分布容積は約290mL/kgであったが、21mg/kg/minの投与速度では約27分及び466mL/kgと増加した1)。
マウスにアミジン基を標識した14C-アルギニン塩酸塩を500mg/kgの用量で静脈内投与した場合、尿中には投与後3時間までに54%、投与後24時間までに74%の放射能が排泄され、呼気中には投与後24時間までに8.3%、糞中には投与後48時間までに0.53%の放射能が排泄された。また、投与後24時間までに排泄された尿中代謝物は、尿素75%、その他の代謝物16%、未変化のアルギニン9%であったとの報告がある2)。