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NTRK 融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌
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ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
【警告】
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ投与すること。 また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
- 〈NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌〉
通常、成人にはエヌトレクチニブとして1日1回600mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。 通常、小児にはエヌトレクチニブとして1日1回300mg/m2(体表面積)を経口投与する。ただし、600mgを超えないこと。なお、患者の状態により適宜減量する。
| 体表面積(m2) | 投与量(1日1回) |
|---|---|
| 0.43~0.50 | 100mg |
| 0.51~0.80 | 200mg |
| 0.81~1.10 | 300mg |
| 1.11~1.50 | 400mg |
| ≧1.51 | 600mg |
- 〈ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
通常、成人にはエヌトレクチニブとして1日1回600mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
- 8.1 心臓障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は適宜心機能(心電図、心エコー等)、CK等の検査を行うなど、患者の状態を十分に確認すること。
9.3 肝機能障害患者
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。エヌトレクチニブの血漿中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
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9.4.1 *妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後5週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。,
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9.4.2 *男性には、本剤投与中及び最終投与後90日間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた試験において、外表及び骨格異常等が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。乳汁移行に関するデータはないが、主活性代謝物であるM5はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。
9.7 小児等
- 〈NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌〉
小児等に製造販売用製剤である本剤を投与した臨床試験は実施していない。また、4歳未満の患者に対する本剤の用法及び用量について、十分な検討は行われていない。
- 〈ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 | 症状・説明 |
|---|---|---|
| Al-P増加 | 頻度不明 | — |
| ALT増加 | 5%以上 | — |
| AST増加 | 5%以上 | — |
| そう痒症 | 頻度不明 | — |
| めまい(32.1%) | 5%以上 | — |
| リンパ球減少 | 頻度不明 | — |
| 下痢(27.4%) | 5%以上 | — |
| 不眠症 | 頻度不明 | — |
| 低血圧 | 5%以上 | — |
| 体重増加(25.0%) | 5%以上 | — |
| 体重減少 | 頻度不明 | — |
| 便秘(33.3%) | 5%以上 | — |
| 倦怠感 | 頻度不明 | — |
| 傾眠 | 頻度不明 | — |
| 光線過敏性反応 | 頻度不明 | — |
| 口内乾燥 | 5%以上 | — |
| 口内炎 | 頻度不明 | — |
| 味覚異常(42.3%) | 5%以上 | — |
| 呼吸困難 | 頻度不明 | — |
| 咳嗽 | 頻度不明 | — |
| 嘔吐 | 5%以上 | — |
| 嚥下障害 | 5%以上 | — |
| 失神 | 頻度不明 | — |
| 好中球減少 | 5%以上 | — |
| 尿失禁 | 頻度不明 | — |
| 尿路感染 | 頻度不明 | — |
| 悪心 | 5%以上 | — |
| 感覚鈍麻 | 5%以上 | — |
| 放屁 | 頻度不明 | — |
| 末梢性ニューロパチー | 5%以上 | — |
| 浮腫(26.2%) | 5%以上 | — |
| 消化不良 | 頻度不明 | — |
| 甲状腺機能低下症 | 頻度不明 | — |
| 疲労(27.4%) | 5%以上 | — |
| 疼痛 | 頻度不明 | — |
| 発熱 | 頻度不明 | — |
| 発疹 | 5%以上 | — |
| 白血球減少 | 5%以上 | — |
| 皮膚乾燥 | 5%以上 | — |
| 皮膚疼痛 | 頻度不明 | — |
| 知覚過敏 | 5%以上 | — |
| 筋力低下 | 5%以上 | — |
| 筋痙縮 | 頻度不明 | — |
| 筋肉痛 | 5%以上 | — |
| 筋骨格痛 | 頻度不明 | — |
| 羞明 | 頻度不明 | — |
| 肺感染 | 頻度不明 | — |
| 胃食道逆流性疾患 | 頻度不明 | — |
| 胸水 | 頻度不明 | — |
| 脱水 | 頻度不明 | — |
| 腫脹 | 頻度不明 | — |
| 腹痛 | 頻度不明 | — |
| 腹部膨満 | 頻度不明 | — |
| 血中クレアチニン増加 | 5%以上 | — |
| 血中乳酸脱水素酵素増加 | 頻度不明 | — |
| 血小板減少 | 頻度不明 | — |
| 貧血 | 5%以上 | — |
| 錯感覚 | 5%以上 | — |
| 関節痛 | 5%以上 | — |
| 霧視 | 5%以上 | — |
| 頭痛 | 頻度不明 | — |
| 食欲亢進 | 頻度不明 | — |
| 食欲減退 | 頻度不明 | — |
| 骨折 | 頻度不明 | — |
| 高ナトリウム血症 | 頻度不明 | — |
| 高尿酸血症 | 5%以上 | — |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
エヌトレクチニブは、トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)、ROS1等のチロシンキナーゼに対する阻害作用を有する低分子化合物である。エヌトレクチニブは、TRK融合タンパク、ROS1融合タンパク等のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている19),20),21)。
18.2 抗腫瘍作用
エヌトレクチニブは、in vitroにおいて、TRK融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来CUTO-3細胞株、ヒト結腸・直腸癌由来KM12細胞株、ROS1融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来CUTO-28細胞株等の複数のヒト悪性腫瘍由来細胞株の増殖を抑制した22)。また、エヌトレクチニブは、in vivoにおいて、TRK融合タンパクを発現するCUTO-3及びKM12細胞株、頭頸部癌患者由来CTG-0798腫瘍組織片、肉腫患者由来G002腫瘍組織片、ROS1融合タンパクを発現する非小細胞肺癌患者由来CTG-0848、LU-01-0414腫瘍組織片等をそれぞれ皮下移植したヌードマウス又は重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した23),24),25),26) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1 単回投与
日本人健康成人男性に本剤600mgを空腹時に単回経口投与したときのエヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す3)。
日本人健康成人男性に本剤600mgを空腹時に単回経口投与したときのエヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差, n=12)
| Tmax (h) | Cmax (nmol/L) | t1/2 (h) | AUCinf (nmol/L・h) | |
|---|---|---|---|---|
| エヌトレクチニブ (n=12) | 3.00 (2.00 - 5.00) | 2170 (39.6) | 18.3 (19.6) | 40800 (47.2) |
| M5 (n=12) | 3.50 (3.00 – 5.00) | 430 (48.4) | 40.6 (20.5) | 12600 (47.0) |
注1)Tmaxは中央値(範囲)で示し、その他のパラメータは幾何平均値(%幾何変動係数)で示した。
- 16.1.2 反復投与
NTRK1/2/3、ROS1又はALK融合遺伝子陽性の固形癌成人患者を対象とした第Ⅰ相試験(STARTRK-1)において、癌患者に本剤600mgを1日1回14日間反復経口投与したときのエヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す4)(外国人データ)。投与1日目及び14日目のCmax及びAUC0-24から算出したエヌトレクチニブの蓄積率の幾何平均値(%幾何変動係数)はそれぞれ1.35(47.0%)及び1.55(49.1%)、M5の蓄積率はそれぞれ2.08(81.7%)及び2.84(93.1%)であり、中程度~高度のばらつきを示した。
癌患者に本剤600mgを1日1回14日間反復経口投与したときのエヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差) 投与1日目(n=18)投与14日目(n=15)
| Tmax (h) | Cmax (nmol/L) | AUC0-24 (nmol/L・h) | ||
|---|---|---|---|---|
| 投与1日目 | エヌトレクチニブ (n=18) | 4.00 (2.00 - 8.00) | 2250 (57.5) | 31800注2) (47.7) |
| M5 (n=18) | 4.00 (2.00 - 24.0) | 622 (79.2) | 10200注2) (81.5) | |
| 投与14日目 | エヌトレクチニブ (n=12) | 4.00 (2.00 - 6.00) | 3130 (80.3) | 48000注3) (76.5) |
| M5 (n=12) | 4.00 (0.580 - 24.0) | 1250 (89.6) | 24000注3) (97.4) | |
注2)n=16 注3)n=9
16.2 吸収
- 16.2.1 食事の影響
健康成人男性45例に本剤600mgを食後(高脂肪、高カロリー食)に単回経口投与したとき、空腹時投与に対するエヌトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(食後投与/空腹時投与)[90%CI]は、それぞれ1.06[0.989、1.15]及び1.15[1.07、1.24]であった5)(外国人データ)。
16.3 分布
エヌトレクチニブ及び主活性代謝物M5の血漿蛋白結合率はいずれも99%以上であり、蛋白結合率に対する薬物濃度の影響は認められなかった6)(in vitro)。 健康成人男性6例に14C-エヌトレクチニブ600mgを空腹時に単回経口投与したときの分布容積(Vz/F)は、961Lであった7)(外国人データ)。
16.4 代謝
エヌトレクチニブは、肝臓において、主としてCYP3A4によって代謝され、エヌトレクチニブと同程度のキナーゼ阻害活性を示すM5が生成する8),9)(in vitro)。 健康成人男性6例に14C-エヌトレクチニブ600mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与後24時間までの血漿中に主にエヌトレクチニブの未変化体、N-グルクロン酸抱合体及びM5が検出された(血漿中の総放射能に対する割合はそれぞれ68.6、18.6 及び11.5%)7)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人男性6例に14C-エヌトレクチニブ600mgを単回経口投与したとき、投与後312時間までに糞中へ82.9%、尿中へ3.06%の放射能が排泄された。また、投与後264時間までに糞中へ排泄されたエヌトレクチニブの未変化体及びM5の割合は、投与量に対してそれぞれ35.7%及び22.1%であった7)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1 小児
国際共同第Ⅱ相試験(STARTRK-2試験)、海外第Ⅰ相試験(STARTRK-1試験)及び海外第Ⅰ/Ⅰb 相試験(STARTRK-NG試験)に組み入れられた4歳以上の患者のデータを用いた母集団薬物動態解析の結果から、小児患者に本剤300mg/m2を1日1回反復投与したとき、成人患者に本剤600mgを1日1回反復投与したときに対するAUC(エヌトレクチニブ及びM5の和)の比は、0.8~1.2の範囲内であった。また、上記の母集団薬物動態解析の結果から、小児患者に本剤を体表面積の区分ごとの用量で1日1回反復投与したとき、成人患者に本剤600mgを1日1回反復投与したときに対するAUC(エヌトレクチニブ及びM5の和)の比は、体表面積が0.43~0.50m2の範囲では0.65~0.74であった一方、体表面積が0.51~1.50m2の範囲では0.85~1.28であった10)。
- 16.6.2 肝機能障害患者
肝機能障害患者に、本剤100mg注4)を単回経口投与したときの薬物動態を健康成人と比較した。健康成人(8例)に対する軽度(Child-Pugh分類A)肝機能障害患者(7例)におけるエヌトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比[90%CI]はそれぞれ1.25[0.904、1.74]及び1.57[1.03、2.41]であった。中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害患者(12例)におけるCmax及びAUCinfの幾何平均値の比[90%CI]はそれぞれ0.905[0.678、1.21]及び1.54[1.06、2.24]であった。また、重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者(11例)におけるCmax及びAUCinfの幾何平均値の比[90%CI]はそれぞれ0.778[0.580、1.04]及び1.80[1.22、2.66]であった11)(外国人データ)。 注4)本剤の承認された用法及び用量(成人)は、エヌトレクチニブとして1日1回600mgを経口投与である。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1 イトラコナゾール
健康成人男性9例に、本剤100mg注5)をCYP3A阻害剤であるイトラコナゾールと併用投与したとき、エヌトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ1.73[1.37、2.18]及び6.04[4.54、8.04]であった12)(外国人データ)。 注5)本剤の承認された用法及び用量(成人)は、エヌトレクチニブとして1日1回600mgを経口投与である。
- 16.7.2 リファンピシン
健康成人男性10例に、本剤600mgをCYP3A誘導剤であるリファンピシンと併用投与したとき、エヌトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ0.444[0.353、0.559]及び0.233[0.184、0.295]であった12)(外国人データ)。
- 16.7.3 ミダゾラム
固形癌患者10例に、本剤600mgを1日1回反復投与時にCYP3Aの基質であるミダゾラム2mgを単回併用投与したとき、ミダゾラムのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ0.786[0.659、0.937]及び1.50[1.29、1.73]であった13)(外国人データ)。
- 16.7.4 その他
健康成人男性10例に、本剤600mgをP-gp基質薬であるジゴキシン0.5mgと単回併用投与したとき、ジゴキシンのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ1.28[0.982、1.67]及び1.18[1.06、1.32]であった14)(外国人データ)。 健康成人男性19例に、本剤600mgをプロトンポンプ阻害剤であるランソプラゾールと単回併用投与したとき、エヌトレクチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ0.765[0.676、0.866]及び0.745[0.647、0.859]であった15)(外国人データ)。 エヌトレクチニブはP-gpの基質であり、BCRP、OATP1B1及びMATE1を阻害した。また、M5はP-gp及びBCRPの基質であり、MATE1を阻害した16)(in vitro)。