【警告】

  1. 1.1 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2 心不全等の重篤な心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には必ず患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること。特に以下の患者については、心機能検査(心エコー等)を頻回に行うこと。,,,

  • 左室駆出率(LVEF)が低下している患者

  • アントラサイクリン系薬剤を投与中の患者又は投与歴のある患者

  • 胸部への放射線治療中の患者又はその治療歴のある患者

  • うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈(心房細動、発作性上室性頻脈を除く)のある患者又はその既往歴のある患者

  • 冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者

  • 臨床上重大な心臓弁膜症のある患者

  • 高血圧症の患者又はその既往歴のある患者

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • HER2陽性の乳癌

  • がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

用法・用量

  • 〈HER2陽性の乳癌〉

他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1200mg、600mg及び30000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与する。ただし、術前・術後薬物療法の場合には、投与期間は12カ月までとする。

  • 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉

通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1200mg、600mg及び30000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与する。

使用上の注意

  1. 8.1 心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には必ず患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は、心症状の発現状況・重篤度に応じて、適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察し、休薬、投与再開、中止を判断すること。,,,

  2. 8.2 骨髄抑制があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  3. 8.3 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 重篤な心機能障害のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。,,

  1. 9.1.2 以下のような心機能の低下するおそれのある患者

心不全等の心機能障害があらわれるおそれがある。,,

  • 左室駆出率(LVEF)が低下している患者

  • アントラサイクリン系薬剤の投与歴のある患者

  • 胸部への放射線治療中の患者又はその治療歴のある患者

  • うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈(心房細動、発作性上室性頻脈を除く)のある患者又はその既往歴のある患者

  • 冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者

  • 臨床上重大な心臓弁膜症のある患者

  • 高血圧症の患者又はその既往歴のある患者

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7カ月間において、避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ペルツズマブでは、動物試験(サル)にて、流産、胚・胎児死亡、羊水過少、胎児の腎形成不全等が認められている。また、胎児の血清中にペルツズマブが検出されている。また、トラスツズマブを投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告があり、羊水過少を発現した症例で、胎児・新生児の腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児の肺形成不全等が認められ死亡に至った例も報告されている。,

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の有効成分の乳汁への移行性については不明であるが、ヒトIgGは母乳中に移行することが報告されている。また、トラスツズマブでは、動物試験(サル)にて、乳汁への移行(25mg/kg反復投与)が報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では一般に生理機能が低下している。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
LDH増加 頻度不明
γ-GTP増加 頻度不明
インフルエンザ 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
うつ病 頻度不明
カンジダ感染 頻度不明
ざ瘡 頻度不明
しびれ(感) 頻度不明
そう痒症 頻度不明
プロトロンビン減少 頻度不明
ヘルペスウイルス感染 頻度不明
ほてり 頻度不明
めまい 頻度不明
リンパ球減少 頻度不明
上気道感染 頻度不明
下痢(30.7%) 5%以上
不全麻痺 頻度不明
不安 頻度不明
不眠症 頻度不明
丹毒 頻度不明
乳房痛 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低血圧 頻度不明
体液貯留 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
傾眠 頻度不明
冷感 頻度不明
副鼻腔炎 頻度不明
動悸 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
口唇炎 頻度不明
口腔内潰瘍形成 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽喉頭疼痛 頻度不明
喘息 頻度不明
嗜眠 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嚥下障害 頻度不明
尿路感染 頻度不明
帯状疱疹 頻度不明
思考異常 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
感染症 頻度不明
感覚鈍麻 頻度不明
手掌・足底発赤知覚不全症候群 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿困難 頻度不明
月経障害 頻度不明
末梢性ニューロパチー 頻度不明
気管支炎 頻度不明
注射部位反応(14.1%) 5%以上
流涙増加 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
潮紅 頻度不明
無力症 頻度不明
熱感 頻度不明
爪の障害 頻度不明
爪感染 頻度不明
疲労 5%以上
疼痛 頻度不明
発声障害 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 5%以上
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚亀裂 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
皮膚色素過剰 頻度不明
眼乾燥 頻度不明
神経毒性 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋緊張亢進 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
筋骨格硬直 頻度不明
粘膜の炎症 頻度不明
粘膜乾燥 頻度不明
紅斑 頻度不明
結膜炎 頻度不明
肛門出血 頻度不明
肛門直腸障害 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃腸炎 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
胸水 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
腸炎 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
膀胱炎 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
蜂巣炎 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血管拡張 頻度不明
血腫 頻度不明
視力低下 頻度不明
視力障害 頻度不明
運動失調 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節痛 頻度不明
難聴 頻度不明
霧視 頻度不明
静脈炎 頻度不明
頚部痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
食欲減退 頻度不明
高カルシウム血症 頻度不明
高クロール血症 頻度不明
高トリグリセリド血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
鼓腸 頻度不明
鼻乾燥 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻潰瘍 頻度不明
鼻部不快感 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、ペルツズマブ、トラスツズマブ及びボルヒアルロニダーゼ アルファを含有する配合剤である。ペルツズマブは、HER2の細胞外領域のドメインⅡに結合し、HER2の二量体形成を阻害し、下流のシグナル伝達経路の活性化を阻害することに加え、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)活性を誘導することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。トラスツズマブは、HER2の細胞膜近接部位のドメインⅣに結合し、ADCC活性を誘導すること等により腫瘍の増殖を抑制すると考えられている10),11)。ボルヒアルロニダーゼ アルファは、結合組織におけるヒアルロン酸を加水分解する酵素である12)。 本剤は、ボルヒアルロニダーゼ アルファによりヒアルロン酸が加水分解され、皮下組織における浸透性が増加することで、拡散吸収されたペルツズマブ及びトラスツズマブが腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

健康成人男性にボルヒアルロニダーゼ アルファ注1)を含むペルツズマブ1200mg注2)及びトラスツズマブ600mg注2)を、それぞれ単独で又は混合調製して単回皮下投与注3)した時の薬物動態は以下のとおりであった1)。(外国人データ) 注1)ボルヒアルロニダーゼ アルファ濃度:2000U/mL 注2)本剤とは異なる製剤を使用 注3)承認された用法及び用量は、初回にペルツズマブ1200mg、トラスツズマブ600mg、ボルヒアルロニダーゼ アルファ30000U、2回目(3週)以降はペルツズマブ600mg、トラスツズマブ600mg、ボルヒアルロニダーゼ アルファ20000Uを3週間間隔投与である。

図 ペルツズマブ単回皮下投与時濃度推移図 トラスツズマブ単回皮下投与時濃度推移

ペルツズマブの用量(mg) トラスツズマブの用量(mg) 測定対象 Cmax (μg/mL) Tmax※(day) AUCinf (μg・day/mL)
1200 ペルツズマブ 147 (13.9) 7.01 (2.00,14.0) 4930 (16.2)
600 トラスツズマブ 65.6 (15.7) 3.99 (2.00,7.01) 1690 (24.8)
1200 600 ペルツズマブ 151 (14.9) 3.00 (2.00,9.00) 4630 (25.5)
トラスツズマブ 68.5 (17.6) 3.00 (2.00,8.99) 1440 (26.5)
平均値(変動係数%)、※:中央値(最小値,最大値)、6例
  1. 16.1.2 反復投与

HER2陽性の早期乳癌患者に初回投与時はペルツズマブ1200mg、トラスツズマブ600mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ30000Uを皮下投与し、2回目以降はペルツズマブ600mg、トラスツズマブ600mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ20000Uを3週間間隔で皮下投与した際の薬物動態は以下のとおりであった2)。(日本人及び外国人データ)

測定時点 例数 ペルツズマブトラフ濃度(μg/mL) トラスツズマブトラフ濃度(μg/mL)
1回目投与後 204 85.5±29.5 31.1±16.4
2回目投与後 203 88.5±32.8 49.6±21.8
3回目投与後 206 93.7±31.5 61.6±22.8
平均値±標準偏差