【警告】

  1. 1.1 本剤の使用にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。,,,

  2. 1.2 インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤の予防使用はワクチンによる予防に置き換わるものではない。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある者

効能・効果

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防

用法・用量

  • 〈治療〉

通常、成人及び体重37.5kg以上の小児にはオセルタミビルとして1回75mgを1日2回、5日間経口投与する。

  • 〈予防〉

  • 成人

  • 通常、オセルタミビルとして1回75mgを1日1回、7~10日間経口投与する。

  • 体重37.5kg以上の小児

  • 通常、オセルタミビルとして1回75mgを1日1回、10日間経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1 抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている。異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、①異常行動の発現のおそれがあること、②自宅において療養を行う場合、少なくとも発熱から2日間、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じること、について患者・家族に対し説明を行うこと。なお、転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いこと、が知られている。

  2. 8.2 本剤は腎排泄型の薬剤であり、腎機能が低下している場合には血漿中濃度が高くなるおそれがあるので、本剤の投与に際しては、クレアチニンクリアランス値に応じた用法及び用量に関連する注意に基づいて、状態を観察しながら慎重に投与すること。,,

  3. 8.3 出血があらわれることがあるので、患者及びその家族に対して、血便、吐血、不正子宮出血等の出血症状があらわれた場合には医師に連絡するよう説明すること。,

  4. 8.4 細菌感染症がインフルエンザウイルス感染症に合併したり、インフルエンザ様症状と混同されることがあるので、細菌感染症の場合には、抗菌剤を投与するなど適切な処置を行うこと。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 高度の腎機能障害患者

腎機能の低下に応じて用法及び用量を調節すること。血漿中濃度が増加する。,,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。

9.6 授乳婦

治療の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

1歳未満の患児(低出生体重児、新生児、乳児)、腎機能障害を有する小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。,

9.8 高齢者

状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では、生理機能(腎機能、肝機能等)の低下や、種々の基礎疾患を有することが多い。国外で実施されたカプセル剤による臨床試験成績では、副作用の頻度及び種類は非高齢者との間に差は認められていない。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
Al-P増加 1%未満
ALT増加 頻度不明
AST増加 1%未満
γ-GTP増加 1%未満
そう痒症 頻度不明
めまい 頻度不明
メレナ注2) 頻度不明
上室性頻脈 頻度不明
下痢(0.9%) 頻度不明
不正子宮出血注2) 頻度不明
不眠症 頻度不明
低体温 頻度不明
便異常 1%未満
傾眠 1%未満
動悸 1%未満
口内炎(潰瘍性を含む) 1%未満
口唇炎 頻度不明
口腔内不快感 1%未満
吐血注2) 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嗜眠 1%未満
嘔吐 頻度不明
好酸球数増加 頻度不明
心室性期外収縮 頻度不明
心電図異常(ST上昇) 頻度不明
悪夢 頻度不明
悪心(0.5%) 頻度不明
感覚鈍麻 1%未満
振戦 頻度不明
気管支炎 頻度不明
浮腫 1%未満
消化性潰瘍 頻度不明
激越 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮下出血注2) 頻度不明
眼痛 1%未満
紅斑(多形紅斑を含む) 頻度不明
結膜炎 頻度不明
耳の障害(灼熱感 頻度不明
耳痛等) 頻度不明
背部痛 1%未満
胸痛 1%未満
腹痛(0.6%) 頻度不明
腹部膨満 1%未満
蕁麻疹 1%未満
蛋白尿 頻度不明
血中ブドウ糖増加 1%未満
血便注2) 頻度不明
血尿注2) 頻度不明
複視 頻度不明
視力低下) 頻度不明
視覚障害(視野欠損 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 1%未満
鼻出血注2) 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

オセルタミビルリン酸塩の活性体はヒトA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し(IC50:0.1~3nM)、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する。21)

18.2 in vitro抗ウイルス作用

オセルタミビルリン酸塩はプロドラッグであり、代謝により活性体に変換された後、抗ウイルス作用を示す。 オセルタミビルリン酸塩の活性体はin vitroでのA型及びB型インフルエンザウイルスの複製を低濃度(実験室株IC50:0.6~155nM、臨床分離株IC50:<0.35μM)で阻害した。22)

18.3 in vivo抗ウイルス作用

マウス及びフェレットのA型及びB型インフルエンザウイルス感染モデルでは、オセルタミビルリン酸塩の経口投与(0.1~100mg/kg/日)により、用量に依存して生存数の増加、感染に伴う症状の減少、ウイルス力価の減少などの治療効果が認められた。また、ニワトリ感染モデルにおいてウイルス感染24時間前からの経口投与(10、100mg/kg、1日2回)で、生存率の上昇などウイルス感染に対する抑制効果が認められた。23),24),25)

18.4 耐性

耐性ウイルスは全てA型ウイルスに由来し、B型では出現が認められなかった。耐性を獲得したウイルスでは、マウス及びフェレットにおいて感染性の低下が認められ、感染部位での増殖、伝播力は低いと考えられる。耐性を獲得したウイルスでは、ノイラミニダーゼのアミノ酸変異が認められている。26)

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

健康成人男子28例にオセルタミビルとして37.5、75、150及び300mgを単回経口投与注1)(絶食時)したときのオセルタミビル活性体の薬物動態パラメータは以下のとおりであり、AUCinf及びCmaxは用量比例的に増加することが示された。1)

投与量 (mg) AUCinf (ng・hr/mL) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) t1/2 (hr)
37.5 1,652±  203 150± 35 4.3±0.8 7.0±2.4
75 3,152±  702 360± 85 4.1±1.2 6.4±3.7
150 7,235±  515 662±165 4.3±1.1 6.6±1.5
300 12,918±1,564 1,377±153 4.3±1.0 5.1±0.4
mean±SD

注1)治療投与:成人及び体重37.5kg以上の小児に対して承認された用法及び用量は、1回75mgを1日2回、5日間投与である。 予防投与:成人に対して承認された用法及び用量は、1回75mgを1日1回、7~10日間投与である。体重37.5kg以上の小児に対して承認された用法及び用量は、1回75mgを1日1回、10日間投与である。

  1. 16.1.2 反復投与

日本人及び白人各14例の健康成人男子を対象とし、オセルタミビルとして75mg1日2回及び150mg1日2回を7日間反復投与注1)(食後投与)したときの活性体の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度トラフ値は以下のとおりであった。日本人及び白人のいずれの用量においても投与開始7日目のAUC0-12h及びCmaxは同様であり、人種間における差は認められなかった。また、トラフ濃度の推移から活性体は投与開始後3日以内に定常状態に到達し、蓄積性は認められなかった(日本人及び外国人データ)。2)

投与量 (mg) AUC0-12h (ng・hr/mL) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) t1/2 (hr)
75(日本人) 2,276±527 297±90.9 4.3±1.4 8.8±3.6
75(白人) 2,270±387 244±29.2 4.6±0.9 9.7±1.2
150(日本人) 4,891±963 599±96.6 4.4±0.9 7.9±1.8
150(白人) 4,904±477 598±70.0 4.5±0.8 9.0±3.7
mean±SD
投与日 血漿中活性体濃度(ng/mL)
75mg 日本人 75mg 白人 150mg 日本人 150mg 白人
3 162±44.5 158±39.4 301±116 289±87.8
5 163±50.9 153±49.5 325±107 360±73.8
6 168±58.6 185±30.1 344±85.5 324±82.5
7 163±27.2 144±35.7 326±84.7 287±56.7
mean±SD
  1. 16.1.3 生物学的同等性試験

オセルタミビル錠75mg「トーワ」とタミフルカプセル75を、クロスオーバー法により1錠又は1カプセル(オセルタミビルとして75mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、いずれもlog(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。3)

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-8h (ng・hr/mL) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) t1/2 (hr)
オセルタミビル錠75mg 「トーワ」 143.1±30.8 96.5±50.4 0.69±0.49 1.43±0.23
タミフルカプセル75 142.3±25.7 91.7±45.9 1.00±0.77 1.37±0.25
mean±SD,n=48血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

  1. 16.3.1 組織分布

雌雄ラットに[14C]-オセルタミビル20mg/kgを単回経口投与した際、放射能は各組織に速やかに分布し、雌雄で類似していた。消化管を除くと肝臓、腎臓で高濃度を示し、標的組織の1つと考えられている肺では血漿の約2倍であったが、中枢神経系への移行は少なかった。雌において胎児への移行が認められ、移行放射能は母体側血漿の約1/2であった。放射能は投与48時間後までに各組織からほぼ完全に消失した。4)

  1. 16.3.2 蛋白結合率

オセルタミビル及びその活性体のヒト、ラット、ウサギ及びイヌ血漿蛋白との結合率は、オセルタミビルでは全ての種類において50%以下の結合であったが、活性体ではいずれの種類においても平均で3%以下の弱いものであった(in vitro試験)。5)

16.4 代謝

オセルタミビルはヒトにおいて経口投与後速やかに主として肝臓で活性体に加水分解される。また、ヒト肝ミクロソームを用いた代謝試験において、P450による代謝は認められなかった(in vitro試験)。6)

16.5 排泄

  1. 16.5.1 尿中排泄

健康成人男子に対しオセルタミビルとして37.5~300mgを単回経口投与注1)したとき、未変化体及び活性体あわせて投与48時間後までに70~80%が尿中に排泄された。1)

  1. 16.5.2 乳汁中移行

授乳ラットに[14C]-オセルタミビル10mg/kgを単回経口投与した際、放射能は乳汁中に移行し、投与1時間後で最高濃度に達した。その後、血漿中とほぼ同様な推移で消失したが、乳汁中/血漿中濃度比は常に乳汁中において高かった。7)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 高齢者(80歳以上)における薬物動態

年齢80歳以上の高齢者5例にオセルタミビルとして75mgを単回経口投与したときのオセルタミビル活性体の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。8)

投与量 (mg) AUCinf (ng・hr/mL) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) t1/2 (hr)
75 6,063±604 439±29 5.0±0.0 7.0±0.6
mean±SD
  1. 16.6.2 腎機能障害者における薬物動態

クレアチニンクリアランス(Ccr)値により規定された腎機能障害者を含む20例を対象とし、オセルタミビルとして100mg1日2回を6日間反復投与注1)したときの活性体薬物動態は、以下の表のとおり腎機能に依存した。高度な腎機能障害者においては投与量の調整が必要であると考えられた(外国人データ)。9),,

Ccr値 (mL/分) AUC0-12h (ng・hr/mL) Cmax (ng/mL) CLr0-12h (L/hr)
Ccr≦30 43,086±18,068 4,052±1,519 1.54±0.55
30<Ccr≦60 15,010± 4,158 1,514±  392 4.19±0.67
60<Ccr≦90 9,931± 1,636 1,058±  183 7.25±1.15
Ccr>90 4,187±   630 494±   80 17.50±2.78
mean±SD

16.7 薬物相互作用

P450を介した薬物相互作用の検討において、オセルタミビルはヒト肝ミクロソームにおける各種P450基質の代謝に対してほとんど影響を与えなかった(in vitro試験)。10) また、オセルタミビルは尿酸排泄促進薬のプロベネシドとの併用により腎クリアランスの低下、AUCinf及びCmaxの約2倍の増加が認められた。このことはアニオン型輸送過程を経て腎尿細管分泌されるオセルタミビルは同経路で排泄される薬剤との併用により競合的相互作用を生ずる可能性を示唆している。しかし、この競合による薬物動態の変化の割合は、投与量の調整が必要であるほど臨床的に重要ではない(外国人データ)。11)なお、インフルエンザウイルス感染症に伴う症状緩和のために併用される可能性がある薬物(抗ヒスタミン薬、マクロライド系抗生物質、NSAIDs等)及び心電図に影響を与える可能性のある薬剤(抗不整脈薬等)の多くの薬物との相互作用は検討されていない。