【警告】

  • 〈効能共通〉
  1. 1.1 本剤はヒトにおいて催奇形性が報告されているので、妊娠する可能性のある女性に投与する際は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で投与を開始すること。また、本剤投与前から投与中止後6週間は、信頼できる確実な避妊法の実施を徹底させるとともに、問診、妊娠検査を行うなどにより、妊娠していないことを定期的に確認すること。
  • 〈臓器移植及び造血幹細胞移植〉
  1. 1.2 本剤の投与は免疫抑制療法及び移植患者の管理に精通している医師又はその指導のもとで行うこと。
  • 〈ループス腎炎、難治性のネフローゼ症候群〉
  1. 1.3 *本剤の投与は適応疾患の治療に十分精通している医師のもとで行うこと。
  • 〈全身性強皮症に伴う間質性肺疾患〉
  1. 1.4 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と全身性強皮症に伴う間質性肺疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師のもとで行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  3. 2.3 本剤投与中は生ワクチンを接種しないこと

効能・効果

  • 腎移植後の難治性拒絶反応の治療 (既存の治療薬が無効又は副作用等のため投与できず、難治性拒絶反応と診断された場合)

  • 下記の臓器移植における拒絶反応の抑制 腎移植、心移植、肝移植、肺移植、膵移植

  • ループス腎炎

  • 造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制

  • 全身性強皮症に伴う間質性肺疾患

  • *難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)

用法・用量

  • 〈腎移植〉

  • 腎移植後の難治性拒絶反応の治療

通常、成人にはミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • 腎移植における拒絶反応の抑制

成人:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,000mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日3,000mgを上限とする。

小児:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回300~600mg/m2を1日2回12時間毎に食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,000mgを上限とする。

  • 〈心移植、肝移植、肺移植、膵移植における拒絶反応の抑制〉

通常、成人にはミコフェノール酸 モフェチルとして1回500~1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。 しかし、本剤の耐薬量及び有効量は患者によって異なるので、最適の治療効果を得るために用量の注意深い増減が必要である。

  • 〈ループス腎炎〉

成人:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回250~1,000mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日3,000mgを上限とする。

小児:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回150~600mg/m2を1日2回12時間毎に食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,000mgを上限とする。

  • 〈造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉

成人:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回250~1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日3,000mgを上限とし、1日3回食後経口投与することもできる。

  • 小児:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回300~600mg/m2を1日2回12時間毎に食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,000mgを上限とする。

  • 〈全身性強皮症に伴う間質性肺疾患〉

通常、成人にはミコフェノール酸 モフェチルとして1回250~1,000mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日3,000mgを上限とする。

  • *〈難治性のネフローゼ症候群〉

通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回500~600mg/m2を1日2回12時間毎に食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,000mgを上限とする。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1 他の免疫抑制剤と併用する場合には、過度の免疫抑制により感染(日和見感染症や進行性多巣性白質脳症(PML))に対する感受性の上昇、悪性リンパ腫及び他の悪性腫瘍(特に皮膚)が発現する可能性があるので、十分注意すること。

  2. 8.2 本剤の使用に際しては、患者又はそれに代わりうる適切な者に、次の注意事項についてよく説明し理解させた後、使用すること。

  3. 8.2.1 感染症状、予期せぬ挫傷、出血又は貧血等の骨髄抑制症状、又は下痢等の消化器症状があらわれた場合には、直ちに担当医に報告すること。

  4. 8.2.2 皮膚癌の危険性を避けるため、帽子等の衣類や日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により、日光やUV光線の照射を避けること。

  5. 8.3 重度の好中球減少等の副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  6. 8.4 本剤は、イノシンモノホスフェイト脱水素酵素(IMPDH)阻害剤であるため、ヒポキサンチン-グアニン-ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)欠損症(Lesch-Nyhan症候群、Kelley-Seegmiller症候群)の患者に使用すると、高尿酸血症を増悪させる可能性があるので十分注意すること。

  7. 8.5 重度の腎障害が起こることがあるので、頻回に臨床検査(クレアチニン、BUN、クレアチニンクリアランス、尿蛋白等)を行うなど観察を十分に行うこと。

  8. 8.6 心障害が起こることがあるので、使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。

  • 〈腎移植後の難治性拒絶反応の治療〉
  1. 8.7 急性拒絶反応と確定診断された患者で、既存の治療薬(高用量ステロイド等)が無効又は副作用等のため投与できない患者に投与すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈製剤共通〉
  1. 9.1.1 重篤な消化器系疾患のある患者

症状を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.2 腎移植後臓器機能再開遅延患者

血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.3 肝炎ウイルスキャリアの患者

肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。

  • 〈懸濁用散〉
  1. 9.1.4 フェニルケトン尿症の患者

症状を増悪させるおそれがある。調製後の懸濁液は1mL中1mgのアスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)を含有する。

  1. 9.1.5 遺伝性フルクトース不耐症の患者

症状を増悪させるおそれがある。調製後の懸濁液は1mL中399mgのD-ソルビトールを含有する。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 慢性腎不全の患者

血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。

  1. 9.2.2 重度の腎障害のある患者

重度の腎障害のある心移植、肝移植、肺移植患者に対する臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性への使用に際しては、患者に次の注意事項についてよく説明し理解させた後、使用すること。本剤には催奇形性がある。

  • 本剤は催奇形性が報告されていること。

  • 本剤の投与開始前に妊娠検査が陰性であるとの結果を確認すること。

  • 本剤投与前、投与中及び投与中止後6週間は、信頼できる確実な避妊法により避妊すること。

  • 本剤投与中は、追加の妊娠検査を行うなど、妊娠していないことを定期的に確認すること。妊娠が疑われる場合には、直ちに担当医に連絡すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠中に本剤を服用した患者において、耳(外耳道閉鎖、小耳症等)、眼(眼欠損症、小眼球症等)、顔面(両眼隔離症、小顎症等)、手指(合指、多指、短指等)、心臓(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症等)、食道(食道閉鎖等)、神経系(二分脊椎等)等の催奇形性が報告されている。本剤を服用した妊婦における流産は45~49%との報告がある1),2)。また、ラットで、脳露出、腹壁破裂(6mg/kg/日)等が、ウサギで、動脈管開存、胸部及び腹壁破裂(90mg/kg/日)等が報告されている。

9.6 授乳婦

**治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行(6mg/kg単回投与)が報告されている。ヒトにおいても乳汁移行の可能性がある。

9.7 小児等

  • 〈腎移植における拒絶反応の抑制〉

国外で行われた生後3カ月から18歳以下の小児患者100例を対象とした臨床試験において発現した副作用の種類及び発現率は、成人に投与した場合と類似していたが、下痢、白血球減少、敗血症、感染、貧血は小児での発現率が10%以上であり、小児(特に6歳未満)の方が成人に比べて高かった。低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

  • *〈難治性のネフローゼ症候群〉

低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

  • 〈上記以外の効能共通〉

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

観察を十分に行い、必要に応じて用量等の調節を行うこと。感染症、消化管出血等の副作用発現の危険性が増加するおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
AG比異常 1%未満
Al-P 1%未満
ALT 頻度不明
AST 頻度不明
BUN上昇 1%未満
Cl 1%未満
CRP上昇 頻度不明
K上昇・低下 1%未満
LAPの上昇 1%未満
LDHの上昇 頻度不明
Mg上昇 頻度不明
Naの低下 1%未満
P 1%未満
γ-GTP 頻度不明
アミラーゼ上昇 頻度不明
アルカローシス 頻度不明
インフルエンザ様症状 頻度不明
インポテンス 頻度不明
うつ 1%未満
クッシング症候群 頻度不明
クレアチニン上昇 1%未満
コリンエステラーゼ低下 1%未満
コレステロール上昇 1%未満
サイトメガロウイルス抗体増加注3) 頻度不明
しびれ(四肢・舌等) 1%未満
しゃっくり 頻度不明
トリグリセライド上昇 頻度不明
トロンボプラスチン時間延長 頻度不明
ニューロパシー 1%未満
ビリルビン 1%未満
プロトロンビン時間延長 頻度不明
ヘマトクリット値減少 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
ヘルニア 1%未満
めまい 1%未満
メレナ 1%未満
下痢(12.0%) 頻度不明
下腿痙直 頻度不明
不安 1%未満
不眠 1%未満
低カルシウム血症 1%未満
低マグネシウム血症 1%未満
低色素性貧血 1%未満
低血圧 頻度不明
低血糖 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
傾眠 頻度不明
免疫グロブリン増加 1%未満
免疫グロブリン減少(3.6%) 頻度不明
出血 1%未満
出血性膀胱炎 1%未満
副甲状腺障害 頻度不明
副鼻腔炎 1%未満
口内乾燥 頻度不明
口内炎 1%未満
口渇 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳増加 1%未満
喀痰増加 頻度不明
喀血 頻度不明
喘息 1%未満
嘔吐 頻度不明
嘔気 頻度不明
嚢腫(リンパ嚢腫 頻度不明
嚥下障害 1%未満
失神 1%未満
好中球数増加 頻度不明
小水疱性皮疹 1%未満
尿失禁 頻度不明
尿路感染 頻度不明
尿閉 1%未満
弱視 頻度不明
徐脈 頻度不明
循環血液量増加・減少 頻度不明
思考異常 頻度不明
急性炎症反応注4) 頻度不明
悪寒 1%未満
情動障害 頻度不明
振戦 1%未満
排尿困難 頻度不明
斑状出血 頻度不明
歯肉炎 頻度不明
歯肉肥厚 頻度不明
浮腫 1%未満
消化不良 1%未満
激越 頻度不明
点状出血 頻度不明
無力症 1%未満
無気肺 頻度不明
甲状腺機能低下 1%未満
男性型多毛症 頻度不明
異常感覚 頻度不明
疼痛 頻度不明
痛風 1%未満
痤瘡 1%未満
瘙痒 頻度不明
発声障害 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 1%未満
白内障 1%未満
白血球数増加 頻度不明
皮膚潰瘍 1%未満
皮膚肥厚 頻度不明
直腸障害 頻度不明
真菌性皮膚炎 頻度不明
眼出血 頻度不明
筋力低下 1%未満
筋痛 1%未満
筋緊張亢進 頻度不明
結膜炎 頻度不明
網赤血球増加・減少 1%未満
耳痛 頻度不明
耳鳴 頻度不明
胃炎 1%未満
胸水 1%未満
胸痛 1%未満
脱毛 1%未満
腸炎 頻度不明
腸絨毛萎縮注2) 頻度不明
腹水 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
膵炎 1%未満
蒼白 頻度不明
蛋白尿 1%未満
蜂巣炎 1%未満
血尿 1%未満
血清アルブミン低下 1%未満
血清総蛋白減少 1%未満
血管拡張 頻度不明
血管痙攣 頻度不明
血糖値上昇 1%未満
視覚障害 頻度不明
譫妄 1%未満
赤血球増加症 頻度不明
赤血球数減少 頻度不明
起立性低血圧 頻度不明
過換気 頻度不明
遺尿 頻度不明
関節痛 1%未満
陰嚢水腫を含む) 頻度不明
静脈圧増加 頻度不明
頚部痛 頻度不明
頭痛 1%未満
頻尿 頻度不明
頻脈 1%未満
顔面浮腫 頻度不明
食欲不振 頻度不明
骨盤痛 頻度不明
骨粗鬆症 1%未満
高カルシウム血症 頻度不明
高リン酸血症 1%未満
高尿酸血症(4.9%) 頻度不明
高脂血症 頻度不明
高血圧 1%未満
鼓腸 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻咽頭炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ミコフェノール酸 モフェチルは、生体内で速やかにMPAに加水分解される。MPAは、de novo系、salvage系2つのプリン生合成経路の内、de novo経路の律速酵素であるイノシンモノホスフェイト脱水素酵素を不競合的、可逆的かつ特異的に阻害することにより、GTP、デオキシGTPを枯渇させ、DNA合成を抑制する29),30),31),32)。T、Bリンパ球細胞は核酸合成を主としてde novo系に依存するのに対して、免疫系以外の細胞はde novo、salvage両系に依存している29),33)。MPAはsalvage系酵素には影響しないため、結果的にリンパ球細胞の増殖を選択的に抑制し、臓器移植後に発症する拒絶反応の形成不全を誘導する29),30)。

18.2 免疫薬理作用

  1. 18.2.1 in vitro 試験

ヒトリンパ球系細胞株の増殖、マイトジェン刺激したヒト末梢血リンパ球及び脾臓Bリンパ球の増殖や抗体産生、並びにヒトリンパ球の混合リンパ球反応を強力に抑制した32),34),35)。一方、ヒト線維芽細胞、臍帯内皮細胞の増殖抑制は軽度であった32)。

  1. 18.2.2 in vivo 試験

マウス細胞傷害性Tリンパ球の誘導抑制、感作マウス及びラット脾臓の抗体産生抑制、脾臓摘出ラットの血中自然抗体産生能低下、感作マウスリンパ節、脾臓のDNA合成の特異的抑制を示した3),35),36),37)。

18.3 移植免疫抑制作用

動物の同種臓器移植において、進行性急性拒絶反応の改善を認めた(イヌ腎臓、ラット心臓・小腸)。また、急性拒絶反応を抑制し、移植臓器片の生着・生存期間を延長させ、他剤との併用投与により免疫抑制作用を増強した(イヌ腎臓・肝臓、ラット心臓・小腸、マウス膵臓)38),39),40),41),42),43),44),45)。さらに、ラット脈管炎モデルでの冠状動脈炎、内膜増殖・肥厚を抑制した46)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 腎移植患者

腎移植患者にミコフェノール酸 モフェチルとして1回500~2,000mg注1)を1日2回反復経口投与したとき、投与開始3週目におけるMPAの血漿中濃度及び薬物動態パラメータは以下のとおりであり、AUCに用量比例性が認められた4),5)。

反復経口投与3週目における平均血漿中MPA濃度

投与量 (mg) AUC0-12h (μg・hr/mL) Cmax (μg/mL) Cmin (μg/mL)
500(n=9) 18.4±3.16 4.74±2.36 0.56±0.23
1,000(n=5) 48.8±16.4 12.6±5.22 1.95±0.99
1,500(n=5) 57.8±21.3 11.8±2.73 1.99±2.01
2,000(n=4)注1) 80.6±16.7 19.3±5.17 2.61±0.91
平均値±SD、n;症例数

注1) 本剤の腎移植における承認最大用量は1回1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与である。

  1. 16.1.2 剤形間の生物学的同等性試験

懸濁用散(試験製剤)とカプセル(標準製剤)を、クロスオーバー法によりそれぞれ1.25mL又は1カプセル(ミコフェノール酸 モフェチルとして250mg)を健康成人男性に絶食時単回経口投与したときの血漿中MPA濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(Cmax、AUC0-48h)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内にあり、両剤形の生物学的同等性が確認された6)。

懸濁⽤散及びカプセル単回経⼝投与後の平均⾎漿中MPA濃度

判定パラメータ 参考パラメータ
Cmax (μg/mL) AUC0-48h (μg・hr/mL) Tmax (hr) t1/2 (hr)
懸濁用散 (n=37) 9.35±1.86 15.5±3.74 0.460±0.138 12.9±4.87
カプセル (n=36) 10.9±3.44 16.4±4.17 0.639±0.211 13.1±3.65
平均値±SD、n;症例数
  1. 16.1.3 健康成人

健康成人12例にミコフェノール酸 モフェチルとして1,000mgを単回経口投与したときの血漿中MPAの薬物動態パラメータは以下のとおりであった7)(外国人データ)。

Tmax (hr) Cmax (μg/mL) t1/2 (hr) AUC0-∞ (μg・hr/mL)
MPA 0.726±0.443 24.0±11.9 15.8±8.40 57.9±16.4
平均値±SD

16.2 吸収

  1. 16.2.1 腸肝循環

14C-ミコフェノール酸 モフェチル5mg/kgを経口投与した雄ラットから投与後1時間までに排泄された胆汁を別の雄ラットに経口投与したところ、胆汁中に排泄された放射能の約85%が再吸収された8)。

16.3 分布

  1. 16.3.1 蛋白結合率

MPAの血漿蛋白結合率は、0.3~200μg/mLの濃度範囲では97~98%であり、そのうち約96%が血清アルブミンへの結合であった(in vitro)(外国人データ)。

16.4 代謝

ミコフェノール酸 モフェチルは投与後速やかにヒトの消化管粘膜、肝臓、血液でMPAと非活性代謝物ヒドロキシエチルモルフォリン(HEM)に加水分解される(外国人データ)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1 健康成人

MPA由来の代謝物については、健康成人4例に14C-ミコフェノール酸 モフェチルを1,000mg単回経口投与したとき、投与後72時間までに約90%が尿中に、約5%が糞中に排泄された。このうち尿中排泄物の約95%はMPAのグルクロン酸抱合体(MPAG)であった。HEM由来の代謝物は、投与後24時間までに約92.1%が尿中に排泄され、主代謝物としてはHEMの酸化反応生成物カルボキシメチルモルフォリンであった(外国人データ)。

  1. 16.5.2 乳汁移行

14C-ミコフェノール酸 モフェチル6mg/kgを授乳ラットに単回経口投与したところ、投与後24時間までの乳汁中放射能のAUCは血漿中放射能のAUCの19%であった。また、乳汁中には未変化体は認められず主代謝物はMPA及びMPAGであった9)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 小児腎移植患者での薬物動態

  2. (1) 小児腎移植患者(2~17歳)

小児腎移植患者(2~17歳)にミコフェノール酸 モフェチルとして1回300~600mg/m2を1日2回反復経口投与した時の投与3カ月目における血漿中のMPAの薬物動態パラメータは、以下のとおりであった。なお、試験全期間(12カ月)における平均投与量は655.0mg/m2/日であった10)。

年齢範囲 (例数) Tmax (hr) Cmax (μg/mL) AUC0-12h (μg・hr/mL)
<6歳(3) 6歳~<12歳(5) 12歳~(7) 全患者(15) 0.5±0.0 0.5±0.2 1.0±0.6 - 11.5±7.8 25.3±10.4 19.1±8.0 20.9±10.2 - - - 46.7±19.0
  1. (2) 小児腎移植患者(生後3カ月~18歳以下)

小児腎移植患者(生後3カ月~18歳以下)にミコフェノール酸 モフェチル(懸濁用散)として1回600mg/m2を1日2回反復経口投与した時の血漿中MPAの薬物動態パラメータは、以下のとおりであった。小児腎移植患者におけるMPAの平均AUC0-12hは、ミコフェノール酸 モフェチル(カプセル)として1回1,000mgを1日2回反復経口投与した成人腎移植患者の結果と同様であった(外国人データ)。

測定 時期 年齢範囲 (例数) Tmax (hr) Cmax (μg/mL)注2) AUC0-12h (μg・hr/mL)注2)
移植後 7日目 3カ月~<2歳(6)注3) 3カ月~<6歳(17) 6歳~<12歳(16) 12歳~18歳(21) 全患者(54) 3.03±4.70 1.63±2.85 0.940±0.546 1.16±0.830 1.24±1.70 10.3±5.80 13.2±7.16 13.1±6.30 11.7±10.7 12.6±8.37 22.5±6.66 27.4±9.54 33.2±12.1 26.3±9.14注4) 28.7±10.5
移植後 3カ月目 3カ月~<2歳(4)注3) 3カ月~<6歳(15) 6歳~<12歳(14) 12歳~18歳(17) 全患者(46) 0.725±0.276 0.989±0.511 1.21±0.532 0.978±0.484 1.05±0.507 23.8±13.4 22.7±10.1 27.8±14.3 17.9±9.57 22.5±11.8 47.4±14.7 49.7±18.2 61.9±19.6 53.6±20.3注5) 54.9±19.6注6)
移植後 9カ月目 3カ月~<2歳(4)注3) 3カ月~<6歳(12) 6歳~<12歳(11) 12歳~18歳(14) 全患者(37) 0.604±0.208 0.869±0.479 1.12±0.462 1.09±0.518 1.03±0.488 25.6±4.25 30.4±9.16 29.2±12.6 18.1±7.29 25.4±11.1 55.8±11.6 61.0±10.7 66.8±21.2 56.7±14.0 61.1±15.7
注2)600mg/m2用量に補正した注3)3カ月~<6歳と重複する注4)n=20注5)n=16注6)n=45
  1. 16.6.2 腎機能低下患者での薬物動態

健康成人、腎機能低下患者及び透析患者にミコフェノール酸 モフェチルとして1,000mgを単回経口投与したときの血漿中MPAの薬物動態パラメータは以下のとおりであった11)(外国人データ)。,,

GFR (mL/min/1.73m2) Tmax (hr) Cmax (μg/mL) AUC0-96h (μg・hr/mL)
>80(n=6) 0.8±0.3 25.3±8.0 45.0±22.6
50-80(n=6) 0.8±0.3 26.0±3.8 59.9±12.9
25-49(n=6) 0.8±0.3 19.0±13.2 52.9±25.5
<25(n=6) 1.0±0.4 16.3±10.8 78.6±46.4
透析後投与(n=6) 0.8±0.3 16.1±7.3 76.9±25.4
投与後透析(n=6) 2.3±3.8 7.1±2.8 60.5±38.1
平均値±SD、n;症例数
  1. 16.6.3 心移植患者での薬物動態

心移植患者にミコフェノール酸 モフェチルとして1,500mgを1日2回反復経口投与した時の血漿中MPAの薬物動態パラメータは以下のとおりであった12)(外国人データ)。

測定時期 Tmax (hr) Cmax (μg/mL) AUC0-12h (μg・hr/mL)
心移植後 1日目 2.02±1.83 (n=17) 11.6±7.45 (n=17) 36.7±11.9 (n=16)
心移植後 5日目 1.58±0.998 (n=10) 13.3±7.80 (n=10) 実施せず
心移植後 退院前日 1.77±1.32 (n=11) 11.5±6.76 (n=11) 43.3±20.8 (n=9)
心移植後 6カ月 1.12±0.655 (n=52) 19.8±9.27 (n=54) 53.9±20.0 (n=53)
平均値±SD、n;症例数
  1. 16.6.4 肝移植患者での薬物動態

肝移植患者にミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,000mg 1日2回7日間の静脈投与注7)に引き続き、ミコフェノール酸 モフェチルとして1,500mgを1日2回反復経口投与した時の血漿中MPAの薬物動態パラメータは以下のとおりであった13)(外国人データ)。

測定時期 Tmax (hr) Cmax (μg/mL) AUC0-12h (μg・hr/mL)
初回投与日 (n=21) 1.13±0.430 13.2±6.64 31.0±14.3
投与開始 6カ月後(n=14) 1.07±0.600 29.3±17.2 60.6±18.4
平均値±SD、n;症例数

注7)本剤の肝移植における承認最大用量は1回1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与である。