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不安定狭心症
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急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1 重篤な肝・腎機能障害のある患者,
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2.2 重篤な脳機能障害のある患者[本剤により過度の血圧低下が生じた場合、脳機能障害に悪影響を及ぼす可能性がある。]
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2.3 重篤な低血圧又は心原性ショックのある患者[本剤により血圧低下が生じ、これらの症状を悪化させる可能性がある。]
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2.4 Eisenmenger症候群又は原発性肺高血圧症のある患者[本剤により静脈還流量が減少し、血圧低下、心拍出量減少が強くあらわれる可能性がある。]
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2.5 右室梗塞のある患者[本剤により静脈還流量が減少し、心原性ショックを招来する可能性がある。]
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2.6 脱水症状のある患者[本剤により静脈還流量が減少し、心拍出量もさらに減少するため、心原性ショックを起こす可能性がある。]
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2.7 神経循環無力症のある患者[神経的要因により生じる病態であるため、効果は不定である。]
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2.8 閉塞隅角緑内障のある患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]
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2.9 本剤又は硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.10 ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)を投与中の患者
効能・効果
用法・用量
- 〈不安定狭心症〉
本剤を生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で溶解して、0.01~0.03%溶液とする。通常、成人には、ニコランジルとして1時間あたり2mgの点滴静注から投与を開始する。投与量は患者の病態に応じて適宜増減するが、最高用量は1時間あたり6mgまでとする。
- 〈急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)〉
本剤を生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で溶解して、0.04~0.25%溶液とする。通常、成人には、ニコランジルとして0.2mg/kgを5分間程度かけて静脈内投与し、引き続き1時間あたり0.2mg/kgで持続静脈内投与を開始する。投与量は血圧の推移や患者の病態に応じて、1時間あたり0.05~0.2mg/kgの範囲で調整する。
使用上の注意
- 〈効能共通〉
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8.1 本剤投与中は、血圧測定と血行動態のモニターを頻回に行うこと。また、投与量の調節は患者の血行動態、症状をみて徐々に行うこと。
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8.2 投与中に血圧低下等の異常が観察された場合や血圧低下の可能性のある患者には、減量又は投与を中止すること。また、必要に応じて下肢挙上、昇圧剤(カテコラミン製剤)投与等の適切な処置を行うこと。
- 〈急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)〉
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8.3 血圧、心拍数、尿量、体液及び電解質、また可能な場合には肺動脈楔入圧、心拍出量及び血液ガス等の患者の全身状態を十分管理しながら投与すること。
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8.4 重篤な血圧低下が起こる可能性がある。本剤投与中は血圧測定を頻回に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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8.5 本剤の投与によっても期待された改善が認められない場合には投与を中止し、他の治療法に切り替えるなどの適切な処置を行うこと。
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8.6 本剤の投与により血行動態及び臨床症状が改善し、患者の状態が安定した場合(急性期の状態を脱した場合)には、他の治療法に変更すること。なお、急性心不全に対する48時間を超える使用経験が少ないので、これを超えて投与する必要が生じた場合には、血行動態及び全身状態等を十分に管理しながら慎重に投与すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 〈効能共通〉
- 9.1.1 低血圧のある患者(重篤な低血圧のある患者を除く)
本剤により血圧低下が生じ、症状を悪化させる可能性がある。
- 〈急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)〉
- 9.1.2 左室流出路狭窄、肥大型閉塞性心筋症又は大動脈弁狭窄症のある患者
本剤により圧較差を増強し、症状を悪化させる可能性がある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
投与しないこと。
- 9.2.2 腎機能障害のある患者(重篤な腎機能障害のある患者を除く)
排泄機能が障害されるため、ニコランジルは高い血中濃度で推移する可能性がある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
投与しないこと。
- 9.3.2 肝機能障害のある患者(重篤な肝機能障害のある患者を除く)
代謝機能が障害されるため、ニコランジルは高い血中濃度で推移する可能性がある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)でニコランジル及び/又はその代謝物の乳汁移行が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下し、副作用の発現しやすいことが推定される。特に血圧低下は、高齢の急性心不全患者に発現しやすいので注意すること。
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 | 症状・説明 |
|---|---|---|
| Al-P | 1%未満 | — |
| ALT | 1%未満 | — |
| AST | 1%未満 | — |
| CK増加 | 1%未満 | — |
| HDLコレステロール減少 | 1%未満 | — |
| LDHの上昇 | 1%未満 | — |
| γ-GTP | 1%未満 | — |
| めまい | 1%未満 | — |
| 嘔吐 | 1%未満 | — |
| 四肢のしびれ感 | 1%未満 | — |
| 尿中蛋白陽性 | 1%未満 | — |
| 心室性頻脈 | 1%未満 | — |
| 心拍数増加 | 1%未満 | — |
| 悪心 | 1%未満 | — |
| 発疹 | 1%未満 | — |
| 白血球数増加 | 1%未満 | — |
| 総蛋白減少 | 1%未満 | — |
| 腹部不快感 | 1%未満 | — |
| 血中カリウム増加 | 1%未満 | — |
| 血中クレアチニン増加 | 1%未満 | — |
| 血中ビリルビン増加 | 1%未満 | — |
| 血圧低下(2.2%) | 頻度不明 | — |
| 血小板減少 | 1%未満 | — |
| 貧血 | 1%未満 | — |
| 頭痛(1.9%) | 頻度不明 | — |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ニコランジルの摘出血管弛緩作用がATP感受性Kチャネル阻害剤あるいはグアニル酸シクラーゼ阻害剤で抑制されること11),13)、イヌ急性心不全モデルにおけるニコランジルの大動脈血流量増加作用などの心血行動態改善作用がATP感受性Kチャネル阻害剤で抑制されること12)、及びニコランジルが摘出血管のcGMP含量を増加させること13)から、本薬の血管拡張作用にはATP感受性Kチャネル開口作用とcGMP産生増加作用が関与する。
18.2 薬理作用
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18.2.1 冠血管拡張作用
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(1) イヌ・ランゲンドルフ標本において正常灌流圧時には比較的細い冠動脈を拡張するが、低灌流圧による虚血時にはむしろ太い冠動脈血管を拡張した。また、無麻酔犬に静注すると血流量に依存しないで、太い冠動脈を用量依存的に拡張させた14),15)。
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(2) 冠動脈疾患・狭心症患者にニコランジル注射剤をニコランジルとして2~6mgあるいは0.05~0.1mg/kg静脈内単回投与注2)し冠動脈造影を施行した時、有意な冠血管拡張作用が用量依存的に認められ、拡張率(非狭窄部内径比)は108~127%であった16),17),18)。
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18.2.2 冠血流量に対する作用
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(1) ニコランジルを、麻酔開胸犬に静注あるいは十二指腸内投与すると冠血流量の増加とその持続が用量依存的に認められた。同様の成績は覚醒犬、イヌ心肺標本、イヌ・ランゲンドルフ標本においても得られた15),19),20),21),22)。
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(2) 左冠動脈に有意狭窄無しまたは器質的狭窄75%以上の狭心症患者にニコランジル注射剤をニコランジルとして0.1mg/kg静脈内単回投与注2)し、投与後3~5分の時点で大心静脈血流量を測定(持続的熱希釈法)したところ、非狭窄群(n=5)で平均115から187mL/minへ、狭窄群(n=4)で平均38から69mL/minへ各々増加し、有意な冠血流量の増加作用が認められた18)。
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18.2.3 冠血管攣縮緩解作用
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(1) ニコランジルは、イヌ冠動脈の部分狭窄による周期的な冠血流量の減少及び心電図のST上昇を抑制し、さらにミニブタの冠動脈内にメサコリンあるいはノルアドレナリンを投与して生じる冠血管の攣縮を抑制した23),24)。
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(2) 冠攣縮性狭心症の患者10例において、エルゴノビン負荷試験により誘発された冠攣縮及び自然発生した冠攣縮に対しニコランジル0.1mg/kgを静脈内投与注2)したところ、冠攣縮緩解作用を認めた25)。
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18.2.4 心・血行動態に対する作用
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(1) ニコランジルを麻酔開胸犬に静注すると、用量依存的に血圧を低下させるが、その程度は軽微であり、冠血管抵抗を有意に低下させる用量において、心拍数、心筋収縮力、心筋酸素消費量、房室伝導時間に影響を及ぼさなかった19),20),26)。
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(2) 安静時において、冠動脈疾患・狭心症患者にニコランジル注射剤をニコランジルとして2~6mgあるいは0.05~0.1mg/kg静脈内単回投与注2)した時、心拍数の増加傾向、また収縮期大動脈圧など血圧動態指標、全身血管抵抗値、Pressure Rate Productの減少傾向を用量依存的に認めたが、これらの変動幅は軽度であった16),17),18)。右房内ペーシング負荷時においては、冠動脈狭窄率75%以上の狭心症患者8例にニコランジル注射剤をニコランジルとして0.05mg/kg静脈内単回投与注2)した時、左室機能において左室拡張末期圧の上昇を軽度にし、心係数の増加を認めた27)。
注2)本剤の承認された用法及び用量は、不安定狭心症では、ニコランジルとして1時間あたり2~6mgの点滴静注である。
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18.2.5 心不全に対する作用
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(1) イヌ急性心不全モデルにおいて、ニコランジルは右房圧と左室拡張末期圧の低下(前負荷の軽減)をもたらし、同時に総末梢血管抵抗を減少(後負荷の軽減)させ、その結果左室収縮能を改善し心拍出量を増加することにより、心不全の血行動態を改善した28)。
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(2) 急性心不全患者(慢性心不全の急性増悪期を含む)にニコランジル注射剤を0.2mg/kg/5min静脈内投与後、0.2mg/kg/hrで2時間持続静脈内投与した時、ニコランジル注射剤投与群ではプラセボ群に比較して肺動脈楔入圧、拡張期血圧、収縮期肺動脈圧、拡張期肺動脈圧、全末梢血管抵抗は有意に低下し、心係数、心拍出量、1回拍出量、1回拍出係数は有意に増加した。心拍数、収縮期血圧、平均右房圧、Pressure Rate Productでは有意な変化が認められなかった10)。
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(3) うっ血性心不全患者にニコランジル注射剤を長時間持続静脈内投与した時、肺動脈楔入圧の低下が維持され、薬剤耐性の生じにくいことが示された29)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1 単回投与
健康成人5例にニコランジルとして2mgを2分間で単回静脈内投与注1)した時のパラメータを以下に示す1)。
| C0 (ng/mL) | kel (1/hr) | t1/2 (hr) | CLtotal (L/hr) | AUCinf (ng・hr/mL) | Vd (L) | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均 | 103.8 | 6.50 | 0.109 | 126.0 | 16.23 | 19.6 |
| C0:投与直後の血漿中ニコランジル濃度 | ||||||
注1)本剤の承認された用法及び用量は、不安定狭心症では、ニコランジルとして1時間あたり2~6mgの点滴静注である。急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)では、ニコランジルとして0.2mg/kgを5分間程度かけて静脈内投与し、引き続き1時間あたり0.05~0.2mg/kgの範囲で調整する。
- 16.1.2 持続投与
健康成人5例にニコランジル注射剤を6時間持続静脈内投与した時のパラメータを以下に示す2)。
| 投与速度 (ニコランジルとして) (mg/hr) | C6h (ng/mL) | t1/2(hr) | CLtotal (L/hr) | AUC0-9hr (ng・hr/mL) | |
|---|---|---|---|---|---|
| α相 | β相 | ||||
| 2 | 31 | 0.14 | 1.56 | 62 | 194 |
| 4 | 84 | 0.17 | 1.98 | 44 | 559 |
| 6 | 152 | 0.14 | 1.32 | 39 | 958 |
| C6h:静脈内持続投与終了直後の血漿中ニコランジル濃度 | |||||
- 16.1.3 長時間投与
急性心不全患者14例にニコランジルとして0.2mg/kgを5分間で静脈内投与後、0.2mg/kg/hrの速度で48時間持続静脈内投与時の血漿中ニコランジル濃度は、投与開始後12時間で約482ng/mLに達し、その後時間経過とともに上昇、48時間で約650ng/mLとなった3)。
16.3 分布
- 16.3.1 血清蛋白結合率
ヒト血清を用いたin vitro試験によると、血清蛋白結合率は34.2~41.5%(ニコランジル濃度1~100μg/mL)であった4)。
16.4 代謝
ニコランジルのほとんどは脱ニトロ化されてN -(2-ヒドロキシエチル)ニコチンアミドへ代謝された5)。