脊髄性筋萎縮症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
- 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
- 〈ドライシロップ〉
通常、生後2カ月未満の患者にはリスジプラムとして、0.15mg/kgを1日1回食後に経口投与する。 通常、生後2カ月以上2歳未満の患者にはリスジプラムとして、0.2mg/kgを1日1回食後に経口投与する。 通常、2歳以上の患者にはリスジプラムとして、体重20kg未満では0.25mg/kgを、体重20kg以上では5mgを1日1回食後に経口投与する。
- *〈錠〉
通常、2歳以上かつ体重20kg以上の患者にはリスジプラムとして、5mgを1日1回食後に経口投与する。
使用上の注意
- 8.1 本剤の投与は、脊髄性筋萎縮症の診断及び治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで行うこと。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
リスジプラムの血中濃度が上昇するおそれがある。当該患者は臨床試験では除外されている。
9.4 生殖能を有する者
- 9.4.1 妊娠可能な女性
本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後少なくとも1カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。動物実験で胚胎児毒性が報告されている1)。
- 9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性
パートナーの妊娠を希望する場合は休薬すること。本剤投与中及び最終投与後又は休薬後の少なくとも4カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。動物実験(ラット及びカニクイザル)で雄の生殖器官における可逆的な所見(精子の変性、精子数の減少、精子の運動能力の低下)が報告されている2),3)。また、遺伝毒性試験で小核誘発作用が認められている4)。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。妊婦に対して本剤を投与する必要がある場合には、胎児に対する潜在的なリスクについて明確に説明すること。動物実験において胎盤通過性(ラット)が認められ5)、臨床用量の3倍を超える曝露量で妊娠期間延長(ラット)、臨床用量の5倍を超える曝露量で胎児重量低値及び骨格変異(ラット)、臨床用量の18倍を超える曝露量で胎児形態異常(水頭症)及び内臓変異(ウサギ)が認められている。なお、ウサギにおける水頭症は、予備試験では臨床用量の3倍を超える曝露量で認められている1)。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている6)。
9.7 小児等
-
9.7.1 早産児を対象とした臨床試験は実施していない。,,
-
9.7.2 早産児では血中濃度が上昇するおそれがある。ヒト肝ミクロソームを用いた試験において、年齢区分ごとのCYP3A4及びFMO3活性、並びにリスジプラムの代謝能は0~6カ月児由来のミクロソームで最も低く、6カ月~2歳児で増加し、2~6歳児ではさらに増加を示した。
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 | 症状・説明 |
|---|---|---|
| 上気道感染 | 頻度不明 | — |
| 下痢 | 頻度不明 | — |
| 口腔内潰瘍形成 | 頻度不明 | — |
| 発疹 | 頻度不明 | — |
| 皮膚変色 | 頻度不明 | — |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
リスジプラムはSMN2 mRNAの選択的スプライシングを特異的に修飾して機能性SMNタンパクの産生量を増加させる23)。
18.2 SMN2スプライシング修飾作用
-
18.2.1 リスジプラムは、in vitroにおいて、SMA Ⅱ型患者由来線維芽細胞及び健康被験者由来全血細胞におけるSMN2 pre-mRNAの選択的スプライシングを、エクソン7を欠いたSMN2Δ7 mRNAの産生からエクソン7を含んだ完全長SMN2 mRNAを産生する方向へシフトさせた。さらに、リスジプラムは、SMA Ⅱ型患者由来線維芽細胞及びSMA Ⅱ型患者のiPS細胞より誘導した運動神経細胞においてSMNタンパク量を増加させた23)。
-
18.2.2 リスジプラムは、内因性Smn1を遺伝的に欠損させ全長及びエクソン7欠失のヒトSMN2を導入することで重篤な神経筋機能の異常を呈し生存期間が生後3週間以下であるSMAモデルマウスにおいて、用量依存的に脳及び筋肉のSMNタンパク量を増加させた。また、リスジプラムは、モデルマウスの神経筋接合部の脱神経及び筋萎縮を抑制するとともに運動機能の保護作用を示し、生存期間の中央値が6カ月を超えるまで延長させた23)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 〈ドライシロップ〉
- 16.1.1 単回投与
日本人健康成人にリスジプラム2、6又は12mg注1)を空腹時に単回経口投与したときの血漿中リスジプラム濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりであり、血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)及び最高血漿中濃度(Cmax)は2~12mgでは用量比例的な増加を示した9)。
日本人健康成人に単回経口投与したときの血漿中リスジプラム濃度推移(平均値+標準偏差、N=6)*:N=5
| 用量 | Cmax (ng/mL) | AUCinf (ng・h/mL) | Tmax (h) | t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|
| 2mg | 8.50 (14.1%) | 332 (12.8%) | 4.00 (3.00-4.50) | 40.5 (13.7%) |
| 6mg | 28.6 (16.7%) | 1080 (17.3%) | 4.25 (2.00-5.00) | 46.1 (18.0%) |
| 12mg | 54.6 (17.6%) | 2180 (17.5%) | 4.00 (3.00-4.00) | 45.6 (7.1%) |
| Tmaxは中央値(範囲)、その他は幾何平均値(幾何CV%) | ||||
-
16.1.2 反復投与
-
(1) 健康成人
健康成人8例にリスジプラム5mgを空腹時に1日1回14日間反復経口投与したときの血漿中リスジプラムの薬物動態パラメータは下記のとおりであった10)(外国人データ)。
| 用量 | 評価時期 | 例数 | Cmax (ng/mL) | AUClast (ng・h/mL) | Tmax (h) | t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 5mg | 1日目 | 8 | 25.9 (13.2%) | 399 (16.2%) | 3.00 (2.00-4.00) | - |
| 14日目 | 7 | 78.6 (23.7%) | 3160 (33.3%) | 2.15 (2.00-4.00) | 37.1 (17.9%) | |
| Tmaxは中央値(範囲)、その他は幾何平均値(幾何CV%)、-:算出せず | ||||||
- (2) Ⅰ型脊髄性筋萎縮症患者
生後2カ月以上7カ月以下のⅠ型脊髄性筋萎縮症患者を対象に、リスジプラム(生後2カ月以上3カ月未満は0.04mg/kg、生後3カ月以上5カ月未満は0.08mg/kg、生後5カ月以上は0.2mg/kg)注2)を1日1回経口投与により開始し、0.2mg/kgまで漸増されたときの血漿中リスジプラム濃度データに基づき、母集団薬物動態モデルを用いて算出された薬物動態パラメータは下記のとおりであった11)。
| 用量a) | 例数 | Cmax,ss (ng/mL) | AUC0-24h,ss (ng・h/mL) |
|---|---|---|---|
| 0.2mg/kg/日 | 37 | 114 (81.9-189) | 1800 (1230-3300) |
| 中央値(範囲) a)投与12カ月時点の用量 | |||
- (3) Ⅱ型及びⅢ型脊髄性筋萎縮症患者
2歳以上25歳以下のⅡ型及びⅢ型脊髄性筋萎縮症患者を対象に、リスジプラム(体重20kg未満は0.25mg/kg、20kg以上は5mg)を1日1回経口投与したときの血漿中リスジプラム濃度データに基づき、母集団薬物動態モデルを用いて算出された薬物動態パラメータは下記のとおりであった11)。
| 用量 | 例数 | Cmax,ss (ng/mL) | AUC0-24h,ss (ng・h/mL) |
|---|---|---|---|
| 0.25mg/kg/日 | 28 | 132 (103-178) | 2270 (1560-3020) |
| 5mg/日 | 89 | 106 (58.4-208) | 1950 (1060-3800) |
| 中央値(範囲) | |||
- (4) 遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症患者
遺伝学的に脊髄性筋萎縮症と診断されたが症状を呈していない生後6週まで(初回投与時)の患者を対象に、リスジプラム(4例は0.04mg/kg、2例は0.08mg/kgで投与を開始し0.2mg/kg注3)に増量、20例は初回から0.2mg/kg注3)で投与)を1日1回経口投与したときの血漿中リスジプラム濃度データを含めて構築した母集団薬物動態モデルを用い算出した0.15mg/kg(生後2カ月未満の患者において承認された用量)注4)投与時の薬物動態パラメータは下記のとおりであった12)(外国人データ)。
| 用量 | 例数 | Cmax (ng/mL) | AUC0-24h (ng・h/mL) |
|---|---|---|---|
| 0.15mg/kg/日 | 26 | 110 (86.4-144) | 1960 (1420-2710) |
| 中央値(第5-第95パーセンタイル) | |||
- 〈錠〉
- 16.1.3 *生物学的同等性試験
健康成人を対象に、リスジプラム5mgをドライシロップ剤又は錠剤として空腹時に単回経口投与したときの血漿中リスジプラムの濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりであった。Cmax及びAUClastの幾何最小二乗平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.02(0.994-1.05)、1.04(1.00-1.08)であった13)(外国人データ)。
外国人健康成人にリスジプラム5mgをドライシロップ剤又は錠剤として空腹時に単回経口投与したときの血漿中リスジプラム濃度推移(平均値+標準偏差)
| Cmax (ng/mL) | AUClast (ng・h/mL) | |
|---|---|---|
| ドライシロップ剤 | 26.3(23.3)[24] | 925(22.5)[24] |
| 錠剤 | 26.9(22.4)[24] | 964(24.5)[24] |
| 幾何平均値(CV%)[有効な測定値が得られた被験者数] | ||
16.2 吸収
- 16.2.1 食事の影響
健康成人3例に本剤(ドライシロップ)をリスジプラムとして6mg注1)を食後(高脂肪、高カロリー食)に単回経口投与したときのCmax及びAUC0-24hは空腹時に比べて、それぞれ平均値で1.2%上昇及び5.4%低下した14)(外国人データ)。
16.3 分布
- 16.3.1 タンパク結合率
リスジプラムのヒト血漿タンパク結合率は、0~12歳までの小児では87.8~92.0%、生後1~7カ月及び2~25歳の脊髄性筋萎縮症患者では89.9%及び90.2%であった(in vitro)15)。
16.4 代謝
健康成人男性6例に本剤(ドライシロップ)を14C-標識リスジプラムとして18mg注1)を単回経口投与したとき、血漿中の主な代謝物はM1(不活性代謝物)であった(投与後48時間までの血漿中総放射能に対するM1の割合は14.0%)16)(外国人データ)。リスジプラムの主代謝酵素はフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO1及びFMO3)及びCYP3A4であった(in vitro)17)。
16.5 排泄
-
16.5.1 日本人健康成人に本剤(ドライシロップ)をリスジプラムとして2、6及び12mg注1)を空腹時に単回経口投与したとき、投与後72時間までの未変化体の尿中排泄率はそれぞれ3.39%、5.10%及び4.86%であった9)。
-
16.5.2 健康成人男性6例に本剤(ドライシロップ)を14C-標識リスジプラムとして18mg注1)を単回経口投与したとき、投与後35日間までに放射能の53.2%が糞便中に、28.2%が尿中に排泄された。未変化体は14.0%が糞便中に、7.7%が尿中に排泄された16)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1 肝機能障害患者
軽度及び中等度肝機能障害被験者(Child-Pugh分類A及びB、各8例)に本剤(ドライシロップ)をリスジプラムとして5mgを単回経口投与したとき、患者背景を対応させた健康成人(各8例)と比較して、血漿中リスジプラムのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(肝機能障害被験者/健康成人)(90%信頼区間)は、軽度肝機能障害被験者では0.950(0.695、1.30)及び0.802(0.627、1.03)、中等度肝機能障害被験者では1.20(0.962、1.49)及び1.08(0.830、1.39)であった18)(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1 イトラコナゾール
健康成人8例に本剤(ドライシロップ)をリスジプラムとして6mg注1)をCYP3A阻害薬であるイトラコナゾール1回200mgを1日2回8日間反復経口投与と併用投与したときの血漿中リスジプラムのCmax及びAUC0-120hの幾何平均値の比(併用投与時7例/単独投与時8例)(90%信頼区間)は、それぞれ0.906(0.841-0.976)及び1.11(1.03-1.19)であった14)(外国人データ)。
- 16.7.2 ミダゾラム
健康成人27例に本剤(ドライシロップ)をリスジプラムとして8mg注1)を1日1回14日間反復経口投与し、CYP3A基質であるミダゾラム2mgと併用したとき、血漿中ミダゾラムのCmax及びAUClastの幾何平均値の比(併用投与時26例/単独投与時27例)(90%信頼区間)は、それぞれ1.16(1.06-1.28)及び1.11(1.02-1.20)であった10)(外国人データ)。
- 16.7.3 *オメプラゾール
健康成人に本剤(錠剤)をリスジプラムとして5mgを空腹時に単回経口投与し、プロトンポンプ阻害剤であるオメプラゾール40mgを1日1回7日間反復経口投与と併用したとき、血漿中リスジプラムのCmax、AUClast及びAUCinfの幾何最小二乗平均値の比(併用投与時11例/単独投与時14例)(90%信頼区間)は、それぞれ0.958(0.820-1.12)、0.979(0.900-1.06)及び0.988(0.908-1.07)であった13)(外国人データ)。
- 16.7.4 その他
リスジプラムはin vitro試験において、有機カチオントランスポーター(OCT)2、multidrug and toxin extrusion(MATE)1及びMATE2-Kに対して阻害能を示し、IC50値はそれぞれ8.72、0.15及び0.09μmol/Lであった19)。
16.8 その他
-
16.8.1 薬力学
-
(1) Ⅰ型脊髄性筋萎縮症患者
生後2カ月以上7カ月以下のⅠ型脊髄性筋萎縮症患者を対象に、本剤(ドライシロップ)をリスジプラムとして生後2カ月以上3カ月未満は0.04mg/kg、生後3カ月以上5カ月未満は0.08mg/kg、生後5カ月以上は0.2mg/kg注2)を1日1回経口投与により開始し、0.2mg/kgまで漸増されたときのベースライン及び最終観察時の血中SMNタンパク濃度(中央値(範囲))は、2.93(0.423-5.8)及び5.37(0.761-9.39)ng/mLであり、最終観察時におけるベースラインからの変化率(中央値(範囲))は、2.01(0.9-4.06)であった11)。
- (2) Ⅱ型及びⅢ型脊髄性筋萎縮症患者
2歳以上25歳以下のⅡ型及びⅢ型脊髄性筋萎縮症患者を対象に、本剤(ドライシロップ)をリスジプラムとして体重20kg未満は0.25mg/kg、20kg以上は5mgを1日1回経口投与したときのベースライン及び最終観察時の血中SMNタンパク濃度(中央値(範囲))は、3.58(1.54-11.4)及び7.04(0.786-13.8)ng/mLであり、最終観察時におけるベースラインからの変化率(中央値(範囲))は、1.98(0.359-4.25)であった11)。
- (3) 遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症患者
遺伝学的に脊髄性筋萎縮症と診断されたが症状を呈していない生後6週まで(初回投与時)の患者を対象に、本剤(ドライシロップ)をリスジプラムとして0.2mg/kg注3)を1日1回経口投与したときの最終観察時における血中SMNタンパク濃度のベースラインからの変化率(中央値(範囲))は、1.5(0.67-3.01)であった12)(外国人データ)。
注1)本剤の承認された用法・用量(2歳以上の患者)は、「リスジプラムとして体重20kg未満では0.25mg/kgを、体重20kg以上では5mgを1日1回食後に経口投与」である。
注2)本剤の承認された用法・用量(生後2カ月以上2歳未満の患者)は、「リスジプラムとして0.2mg/kgを1日1回食後に経口投与」である。
注3)本剤の承認された用法・用量(生後2カ月未満の患者)は、「リスジプラムとして0.15mg/kgを1日1回食後に経口投与」である。
注4)曝露量が、非臨床毒性試験の無毒性量に基づき平均AUC0-24hとして2000ng・h/mLとなるような用量とした。