Clinical snapshot

キロサイド注20mg

シタラビン注射液

添付文書改訂 2026年02月01日

【警告】

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤に対する重篤な過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 急性白血病(赤白血病、慢性骨髄性白血病の急性転化例を含む)。

  • 消化器癌(胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌等)、肺癌、乳癌、女性性器癌(子宮癌等)等。ただし他の抗腫瘍剤(フルオロウラシル、マイトマイシンC、シクロホスファミド水和物、メトトレキサート、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩等)と併用する場合に限る。

  • 膀胱腫瘍

用法・用量

  • 〈急性白血病〉

  • (1)寛解導入

急性白血病の寛解導入には、シタラビンとして通常1日小児0.6~2.3mg/kg、成人0.8~1.6mg/kgを250~500mLの5%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して、点滴で静脈内投与するか、又は20mLの20%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して、ワンショットで静脈内投与する。通常2~3週間連続投与を行う。

  • (2)維持療法

寛解が得られた場合は、維持療法として上記用量を1週1回そのまま皮下、筋肉内投与するか、あるいは上記用法に従い静脈内投与する。

  • (3)シタラビン少量療法

通常、成人にはシタラビンとして以下の用量を10~14日間皮下又は静脈内投与する。

  • 1回10~20mgを1日2回

  • 1回20mg/m2を1日1回

  • *(4)シタラビン標準量療法

他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人及び小児には、シタラビンとして1日100~200mg/m2を5~7日間点滴で静脈内投与する。

  • (5)髄腔内化学療法

通常、成人にはシタラビンとして1回25~40mgを1週間に1~2回髄腔内に投与する。小児に投与する場合には、下記を参考に年齢・体格等に応じて投与量を調節する。 なお、併用する他の抗腫瘍剤及び患者の状態により投与間隔は適宜延長すること。髄液に異常所見を認める場合は、正常化するまで投与を継続すること。

  • 1歳 2歳 3歳以上
    15~20mg 20~30mg 25~40mg
  • 年齢、症状により適宜増減する。 併用する薬剤の組合せ、併用量等は医師の判断による。

  • 〈消化器癌、肺癌、乳癌、女性性器癌等〉

  • (1)静脈内注射

消化器癌、肺癌、乳癌、女性性器癌等に他の抗腫瘍剤(フルオロウラシル、マイトマイシンC、シクロホスファミド水和物、メトトレキサート、ビンクリスチン硫酸塩等)と併用するときは、シタラビンとして通常1回0.2~0.8mg/kgを1週間に1~2回点滴で静脈内投与するか、又はワンショットで静脈内投与する。

  • (2)局所動脈内注射

局所動脈内注入の場合は、シタラビンとして通常1日0.2~0.4mg/kgを他の抗腫瘍剤(フルオロウラシル、シクロホスファミド水和物、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩等)と併用して持続注入ポンプで投与する。

  • 年齢、症状により適宜増減する。 併用する薬剤の組合せ、併用量等は医師の判断による。

  • 〈膀胱腫瘍〉

  • 膀胱腫瘍に単独膀胱内注入を行う場合は、シタラビンとして通常200~400mgを、また、他の抗腫瘍剤と併用し、膀胱内注入を行う場合は、シタラビンとして通常100~300mgを10~40mLの生理食塩液又は注射用蒸留水に混合して1日1回又は週2~3回膀胱内に注入する。

  • 年齢、症状により適宜増減する。 併用する薬剤の組合せ、併用量等は医師の判断による。

使用上の注意

  1. 8.1骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。

  2. 8.2感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。

  3. 8.3本剤に特有な副作用として眼症状、皮膚症状が知られている。眼症状は結膜炎、眼痛、羞明、眼脂、結膜充血、角膜潰瘍等が発現する。これらの症状は副腎皮質ホルモン点眼剤により予防及び軽減することができる。皮膚症状は四肢末端に発疹、発赤、紅斑(しばしば高度の痛みを伴う)等が発現する。これらの症状は副腎皮質ホルモン剤により軽減することができる。

  4. **8.4腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度測定及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1骨髄機能抑制のある患者

骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.2感染症を合併している患者

骨髄機能抑制により、感染を増悪させるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

  2. 9.4.2パートナーが妊娠する可能性のある男性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

  3. 9.4.3小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験(マウス、ラット)で催奇形作用が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。

9.7 小児等

副作用の発現に特に注意すること。髄腔内化学療法の場合、低出生体重児、新生児又は乳児(1歳未満)に対する臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

用量及び投与間隔に留意するなど患者の状況を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
他の抗腫瘍剤
放射線照射
骨髄機能抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には患者の状態を観察しながら、減量するなど慎重に行うこと。 骨髄機能抑制等の相加・相乗作用による。
他剤併用療法
• フルオロウラシル
マイトマイシンC
副腎皮質ホルモン等
副作用の項に記載したもの以外に、静脈炎、脱毛があらわれることがある。
フルシトシン 骨髄機能抑制の副作用が増強することがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど慎重に投与すること。 骨髄機能抑制の相加・相乗作用による。
フルシトシン フルシトシンの効果を減弱させるとの報告がある。 フルシトシンの血中濃度の低下による。
フルダラビン 骨髄機能抑制等の副作用が増強するおそれがある。 in vivo試験及びin vitro試験において、シタラビンの活性代謝物であるAra-CTPの細胞内濃度の上昇が認められている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
倦怠感 頻度不明
口内炎 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
排尿痛 頻度不明
有痛性紅斑 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
結膜炎 頻度不明
肝障害 頻度不明
脱毛(症) 頻度不明
腎機能異常 頻度不明
腹痛・下痢 頻度不明
膀胱内注入療法の場合 頻度不明
膀胱炎 頻度不明
血尿等の膀胱刺激症状 頻度不明
血栓性静脈炎 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻尿 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

シタラビンの代謝拮抗性作用機序は、DNA合成過程におけるCDP reductaseレベルとDNA polymeraseレベルでの阻害によると考えられている22)。また、シタラビンがDNA合成能の低下したstationary phaseの白血病細胞に対しても、濃度依存的な殺細胞作用を示すことや23)、殺細胞作用以下の作用濃度で白血病細胞の分化を誘導することも報告されている24)。

18.2 抗腫瘍作用

シタラビンはL1210白血病25)をはじめとする各種マウス腫瘍に抑制効果を示す26)。更に腹水肝癌AH66を移植したラットの生存日数を延長するのみならず27)、ヒト膀胱腫瘍株KU-1の増殖をも抑制する28)(in vitro)。

18.3 併用効果

シタラビンはマイトマイシンC、フルオロウラシル、メルカプトプリン水和物、ダウノルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩と相乗的、メトトレキサート、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、シクロホスファミド水和物と相加的抗腫瘍効果を示す25),29)。更にマイトマイシンC、フルオロウラシルとの3剤併用MFC29),30)及びダウノルビシン塩酸塩、メルカプトプリン水和物との3剤併用DPC30),31)は相乗効果を示す(L1210マウス白血病)。またシタラビンはドキソルビシン塩酸塩と併用することにより、ラット膀胱腫瘍株BC-50に対して抗腫瘍効果を増強する32)。株化ヒト結腸癌細胞を用いた実験で、シスプラチンと相乗効果のあることも認められている33)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

3H-シタラビン67~3000mg/m2 注1)を癌患者に単回静脈内注射した場合、血漿中のシタラビン濃度は二相性を示し、第一相10~20分、第二相2~3時間の半減期で消失した3)(外国人データ)。

  1. 16.1.2持続投与

シタラビン20mg/m2/日を非定型性白血病患者3例に14日間持続点滴静脈内注射した場合の血漿中濃度推移を示す4)(外国人データ)。

16.2 吸収

ウサギ膀胱内注入時シタラビンは安定であり、膀胱粘膜からの吸収率は0.2%であった5)。

16.4 代謝

シタラビン(Ara-C)を癌患者に静脈内注射あるいは持続点滴静脈内注射すると90%以上が肝臓、血液中等でuracil arabinoside(Ara-U)に代謝される3)(外国人データ)。

16.5 排泄

大部分が24時間以内に尿中に排泄される3)(外国人データ)。

投与経路 投与量
(mg/m2)
患者数 24時間累積尿中排泄
(%、平均値)
合計 Ara-C Ara-U
静脈内注射 47~3000注1) 8 78.0 7.1 70.9
持続点滴静脈内注射 100~400注1) 4 83.8 7.8 76.0

注1)本剤の承認された1回用量は5.9~200mg/m2である。