【警告】

  1. 1.1 本剤を患者に交付する際には、必ずインフォームドコンセントを実施し、本剤交付前に自らが適切に自己投与できるよう、本剤の保存方法、使用方法、使用時に発現する可能性のある副作用等を患者に対して指導し、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者が理解したことを確認した上で交付すること。,

  2. 1.2 本剤を患者に交付する際には、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に対して、本剤に関する患者向けの説明文書等を熟読し、また、本剤の練習用見本を用い、日頃から本剤の使用方法について訓練しておくよう指導すること。,

  3. 1.3 本剤は、アナフィラキシー発現時の緊急補助的治療として使用するものであるので、本剤を患者に交付する際には、医療機関での治療に代わり得るものではなく、本剤使用後には必ず医療機関を受診し、適切な治療を受けるよう指導すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

イソプレナリン、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬を投与中の患者(ただし、蘇生等の緊急時はこの限りでない)

効能・効果

蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)

用法・用量

通常、体重30kg未満の患者には、アドレナリンとして1回1mgを、体重30kg以上の患者には、アドレナリンとして1回2mgを鼻腔内に投与する。

使用上の注意

  1. 8.1 本剤はアドレナリン受容体作動薬として、α受容体、β受容体それぞれに作用し、その作用は投与量、投与方法等に影響を受けやすいので注意すること。

  2. 8.2 アドレナリンはアナフィラキシーショックの救急治療の第一選択薬であり、ショック時の循環動態を改善するが、その循環動態はショックを起こした原因及び病期により異なることがあるので、治療に際し本剤の選択、使用時期には十分注意すること。

  3. 8.3 本剤には昇圧作用のほか血管収縮、気管支拡張作用等もあるので、ショックの初期治療後は他の昇圧薬を用いること。

  4. 8.4 過度の昇圧反応を起こすことがあり、急性肺水腫、不整脈、心停止等を起こすおそれがあるので、過量投与にならないよう注意すること。,,

  5. 8.5 本剤を患者に交付する際には、必ずインフォームドコンセントを実施し、医師は患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に対して、次の点及び本剤の投与により発現する可能性のある副作用等について指導すること。,

  6. 8.5.1 本剤に関する患者向けの説明文書等を熟読し、また、本剤の練習用見本を用いた訓練を行い、日頃から本剤の使用方法について理解しておくこと。

  7. 8.5.2 本剤の投与が必要となるアナフィラキシーの症状について医師と認識を共有すること。,,

  8. 8.5.3 原則として本剤投与後は救急搬送の手配を行い、必ず医療機関を受診し適切な治療を受けること。その際、本剤投与状況の確認のため、使用済みの製剤を医療従事者に提示すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 次の患者には、ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと。

  2. (1) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  3. (2) 交感神経作動薬に対し過敏な反応を示す患者

アドレナリン受容体が本剤に対し高い感受性を示すおそれがある。

  1. (3) 動脈硬化症の患者

本剤の血管収縮作用により、閉塞性血管障害が促進され、冠動脈や脳血管等の攣縮及び基質的閉塞があらわれるおそれがある。

  1. (4) 甲状腺機能亢進症の患者

頻脈、心房細動がみられることがあり、本剤の投与により悪化するおそれがある。

  1. (5) 糖尿病の患者

肝におけるグリコーゲン分解の促進や、インスリン分泌の抑制により、高血糖を招くおそれがある。

  1. (6) 心室性頻拍等の重症不整脈のある患者

本剤のβ刺激作用により、不整脈を悪化させるおそれがある。

  1. (7) 精神神経症の患者

一般に交感神経作動薬の中枢神経系の副作用として情緒不安、不眠、錯乱、易刺激性及び精神病的状態等があるので悪化するおそれがある。

  1. (8) コカイン中毒の患者

コカインは、交感神経末端でのカテコールアミンの再取り込みを阻害するので、本剤の作用が増強されるおそれがある。

  1. (9) 体重15kg未満の患者

体重15kg未満の患者に対する本剤1mg製剤投与は過量投与になるおそれがあるので、通常のアドレナリン注射液を用いて治療することを考慮すること。

  1. (10) 鼻の解剖学的異常のある患者

鼻茸、鼻骨折又は鼻損傷の既往歴、鼻の手術歴等を有する患者では、本剤の吸収が十分でない可能性があることから、他の投与経路のアドレナリン製剤による治療を考慮すること。

  1. 9.1.2 高血圧の患者

本剤の血管収縮作用により、急激な血圧上昇があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.3 肺気腫のある患者

肺循環障害を増悪させ、右心系への負荷が過重となり、右心不全に陥るおそれがある。

  1. 9.1.4 心疾患のある患者

本剤のβ刺激作用により、心疾患を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦、妊娠している可能性のある女性又は産婦には投与しないことが望ましい。胎児の酸素欠乏をもたらす、あるいは分娩第二期を遅延するおそれがある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

4歳未満(体重15kg未満)の幼児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態に応じ慎重に投与すること。高齢者はアドレナリンの作用に対する感受性が高いことがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
そう痒症 頻度不明
びくびく感 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
動悸 頻度不明
口の感覚鈍麻 頻度不明
口腔咽頭不快感 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽喉刺激感 頻度不明
咽頭感覚鈍麻 頻度不明
嘔吐 頻度不明
心拍数増加 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
振戦 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
熱感 頻度不明
疼痛 頻度不明
発汗 頻度不明
胸内苦悶 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
過敏症状等 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
顔面潮紅・蒼白 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻痂皮 頻度不明
鼻痛 頻度不明
鼻粘膜障害 頻度不明
鼻腔内感覚鈍麻 頻度不明
鼻部不快感 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本薬は、化学的に合成した副腎髄質ホルモン(アドレナリン)であり、交感神経α及びβ受容体刺激作用を有する。α受容体を介して末梢血管収縮作用、β1受容体を介して心筋収縮力増強作用と心拍数上昇作用を、またβ2受容体を介して骨格筋の血管床弛緩作用を惹起する9)。

18.2 アナフィラキシー反応に対する作用

  1. 18.2.1 血圧に対する作用

アドレナリンはα受容体を刺激し末梢血管抵抗を高め、血圧を上昇させ正常化する作用を有する。また、β1受容体を刺激することで陽性の変力及び変時作用を持ち合わせる9)。

  1. 18.2.2 毛細血管透過性亢進、気道平滑筋収縮に対する作用

β2受容体を刺激することで、気管支拡張効果とともにマスト細胞及び好塩基球中のサイクリックAMPの産生を増加させ、炎症性メディエーターの遊離を減少させる9)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

日本人健康成人に本剤2mgを鼻腔内に単回投与したときの薬物動態(投与後360分まで)が検討され、血漿中アドレナリン濃度推移(投与後60分まで)及び薬物動態パラメータは図1及び表1のとおりであった4)。

図1 本剤投与後60分までの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

例数 tmax注1) (min) Cmax注2) (pg/mL) AUClast注2) (min・pg/mL)
本剤2mg 12 20.0 (15.0 – 120.0) 814 (105.7) 56782 (79.6)
注1) 中央値(最小値−最大値) 注2) 平均値(変動係数 %)
  1. 16.1.2 単回及び2回投与

健康成人に本剤2mgを鼻腔内、又はエピペン注射液0.3mgを筋肉内に、単回又は2回投与したときの薬物動態(投与後240分まで)が検討され、血漿中アドレナリン濃度推移(投与後60分まで)及び薬物動態パラメータは図2、図3及び表2、表3のとおりであった。また、本剤2mg又はエピペン注射液0.3mgを単回投与したときの投与後60分までの収縮期血圧及び脈拍数のベースラインからの変化量の推移は図4及び図5のとおりであった(外国人データ)5)。

図2 本剤又はエピペン注射液投与後60分までの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

例数 tmax注1) (min) Cmax注2) (pg/mL) AUClast注2) (min・pg/mL)
本剤2mg 42 30.0 (6.00 – 150) 481 (76.0) 43500 (69.4)
エピペン注射液 0.3mg 35 8.00 (2.00 – 45.0) 612 (58.4) 30900 (37.1)
注1) 中央値(最小値−最大値) 注2) 平均値(変動係数 %)

図3 本剤又はエピペン注射液2回投与後60分までの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

例数 tmax注1) (min) Cmax注2) (pg/mL) AUClast注2) (min・pg/mL)
本剤2mg (L/R)#1 36 30.0 (6.00 - 150) 805 (69.2) 72500 (61.4)
本剤2mg (R/R)#1 39 30.0 (4.00 - 150) 992 (75.3) 86000 (60.5)
エピペン注射液0.3mg (L/R)#2 37 15.0 (0.00 - 360) 719 (43.3) 49900 (38.7)
注1) 中央値(最小値−最大値) 注2) 平均値(変動係数 %) #1:10分間隔にて左鼻孔(L)及び右鼻孔(R)に各1回投与、又は右鼻孔に2回投与 #2:10分間隔にて左大腿前外側(L)及び右大腿前外側(R)に各1回投与

図4 本剤又はエピペン注射液投与後60分までの収縮期血圧(SBP)のベースラインからの変化量の推移(平均値±標準偏差)図5 本剤又はエピペン注射液投与後60分までの脈拍数(PR)のベースラインからの変化量の推移(平均値±標準偏差)

16.4 代謝

アドレナリンは交感神経細胞内に取り込まれるか、あるいは組織内で主にモノアミンオキシダーゼ(MAO)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)によって代謝され、不活化される。アドレナリンの主要な代謝物はメタネフリン、そのグルクロン酸及び硫酸抱合体、3-メトキシ-4-ヒドロキシマンデル酸である6)。

16.5 排泄

代謝物は、主にグルクロン酸抱合体及び硫酸抱合体として尿中に排泄されるが、この中には未変化体も含まれる6)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 小児

全身性アレルギーを有する4歳以上の小児患者を対象に、体重15kg以上30kg未満の患者に対し本剤1mg、体重30kg以上の患者に対し本剤2mgを鼻腔内に単回投与したときの薬物動態(投与後120分まで)が検討され、血漿中アドレナリン濃度推移(投与後60分まで)及び薬物動態パラメータは図6及び表4のとおりであった(外国人データ)7)。

図6 本剤1mg又は本剤2mg投与後60分までの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

例数 tmax注1) (min) Cmax注2) (pg/mL) AUClast注2) (min・pg/mL)
本剤1mg 21 20.0 (2.50 – 61.5) 651 (64.2) 35100 (57.3)
本剤2mg 21 29.5 (2.90 – 120) 690 (100) 40200 (92.8)
注1) 中央値(最小値−最大値) 注2) 平均値(変動係数 %)