【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 **イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、ボノプラザン・アモキシシリン・クラリスロマイシン、ラベプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン、リトナビル、ニルマトレルビル・リトナビル、エンシトレルビル、セリチニブを投与中の患者,

効能・効果

不眠症

用法・用量

通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1 本剤の影響が服用の翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

  2. 8.2 症状が改善した場合は、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 ナルコレプシー又はカタプレキシーのある患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2 重度の呼吸機能障害を有する患者

重度の呼吸機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。

  1. 9.1.3 脳に器質的障害のある患者

作用が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重度の肝機能障害のある患者

スボレキサントの血漿中濃度を上昇させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)では、交配前、交配期間中及び妊娠初期に臨床曝露量の70倍を投与した場合、黄体数、着床数及び生存胎児数の減少が、妊娠期に臨床曝露量の86倍を投与した場合、胎児体重の減少が認められた。また、妊娠から授乳期に臨床曝露量の49倍を投与した場合、出生児に一過性の体重低値が認められた。

9.6 授乳婦

*治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。外国人女性12例を対象とした乳汁移行試験成績から、スボレキサント及びその水酸化代謝物が母乳中へ移行することが認められている。本剤20mgを経口投与した時の相対的乳児投与量(RID)は母体投与量の1%未満であり、水酸化代謝物の移行はスボレキサントより低かった。母乳中のスボレキサントに対する水酸化代謝物の曝露量比は約0.13であった。動物実験(ラット)でスボレキサントが乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。高齢者での薬物動態試験において、非高齢者と比較して血漿中濃度が高くなる傾向が認められている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
そう痒症 頻度不明
不安 頻度不明
傾眠 1〜5%未満
傾眠時幻覚注1) 頻度不明
入眠時幻覚 1%未満
動悸 頻度不明
嘔吐 頻度不明
夢遊症注1) 頻度不明
悪夢 1〜5%未満
悪心 頻度不明
浮動性めまい 1〜5%未満
激越 頻度不明
異常な夢 1%未満
疲労 1〜5%未満
睡眠時随伴症注1) 頻度不明
睡眠時麻痺 1%未満
頭痛 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

スボレキサントはオレキシン受容体に選択性が高く可逆的な拮抗薬で、ヒトオレキシン1(OX1)受容体及びオレキシン2(OX2)受容体に対する親和性(Ki値)はそれぞれ0.55及び0.35nMであった6)。 スボレキサントは、覚醒を促進する神経ペプチドであるオレキシンA及びBのOX1及びOX2受容体への結合を可逆的に阻害することにより、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させ、睡眠を誘発すると考えられる。 スボレキサントはγ-アミノ酪酸(GABA)、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、メラトニン、ヒスタミン、アセチルコリン及びオピオイド受容体に対して親和性を示さなかった(Ki>10μM)。

18.2 睡眠に対する作用

スボレキサントを通常の活動期にあるラット(10、30及び100mg/kg)、イヌ(1及び3mg/kg)、サル(10mg/kg)に経口投与すると、覚醒時間が減少し、ノンレム睡眠及びレム睡眠時間が増加した6)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

日本人健康成人(12例)に、本剤40mgを空腹時単回経口投与した後のスボレキサントは速やかに吸収され、投与後1.5時間(1.0~3.0時間)で最高血漿中濃度(Cmax)に達し、平均半減期(t1/2)は10.0時間であった(表1)。

AUC0-∞注2) (μM・hr) Cmax注2) (μM) Tmax注3) (hr) t1/2注4) (hr)
12.15 (10.97, 13.46) 1.007 (0.858, 1.182) 1.5 (1.0, 3.0) 10.0±1.0
n=12注2)幾何平均(95%信頼区間)注3)中央値(最小値、最大値)注4)調和平均(ジャックナイフ法により計算した標準偏差)
  1. 16.1.2 単回投与

健康成人(16例)に、本剤10~40mgを空腹時単回経口投与したところ、スボレキサントの曝露量は用量比例性を下回った(外国人データ)(表2)。

AUC0-∞注5) (μM・hr) Cmax注5) (μM) Tmax注6) (hr) t1/2注7) (hr)
10mg 5.32 (4.55, 6.23) 0.456 (0.403, 0.516) 1.5 (1.0, 4.0) 12.1±1.8
20mg 9.51 (8.12, 11.14) 0.646 (0.572, 0.731) 1.0 (1.0, 4.0) 12.5±2.6
40mg 16.21 (13.85, 18.98) 0.956 (0.845, 1.082) 2.0 (1.0, 4.0) 12.6±2.5
n=16注5)幾何平均(95%信頼区間)注6)中央値(最小値、最大値)注7)調和平均(ジャックナイフ法により計算した標準偏差)
  1. 16.1.3 反復投与

健康成人(30例)に、本剤10~100mgを1日1回14日間反復投与したとき、3日目までに定常状態に到達し、スボレキサント40mgの平均t1/2(約12時間、95%信頼区間:12.0~13.1時間)から予想される値と一致した。AUC0-24hrの累積係数は1.21~1.60で、いずれの用量でも類似していた(外国人データ)。

16.2 吸収

本剤20mgを投与した際の平均絶対バイオアベイラビリティは62%(5~95パーセンタイル:55~69%)であると推定された。

  1. 16.2.1 食事の影響

本剤40mgを低脂肪食摂取後に単回経口投与した場合、空腹時と比較してスボレキサントのCmaxは23%増加したが、AUCは変化しなかった。Tmaxは1時間延長した(日本人データ)。 本剤40mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与した場合、空腹時と比較してスボレキサントのCmaxは9%増加したが、AUCは変化しなかった。Tmaxは1.5時間延長した(外国人データ)。

16.3 分布

スボレキサントの平均分布容積は約49Lであった。 スボレキサントのヒト血漿蛋白結合率は高く(>99%)、赤血球に特異的に分布することはなかった。スボレキサントは、ヒト血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白質のいずれにも結合した。

16.4 代謝

スボレキサントは主として代謝により消失し、その代謝には主にCYP3Aが関与し、CYP2C19もわずかに関与していた。血漿中には主にスボレキサント及びその水酸化代謝物が認められた。この代謝物は脳内で薬理作用を示さないと考えられる。

16.5 排泄

スボレキサントの主な排泄経路は糞便を介するものであり、経口投与した14C標識スボレキサントの約66%が糞便中に排泄されるのに対し、尿中への排泄は23%であった。スボレキサントは主として代謝物として排泄され、糞便中及び尿中のスボレキサントは投与量の1%未満であった。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 年齢

健康成人に、本剤40mgを1日1回14日間反復投与したとき、定常状態でのスボレキサントのAUC0-24hr、Cmax及びt1/2の平均値は、それぞれ、10.64μM・hr、1.080μM及び9.4時間であった。健康高齢者に、本剤40mgを1日1回7日間反復投与したとき、定常状態でのスボレキサントのAUC0-24hr、Cmax及びt1/2の平均値は、それぞれ、17.88μM・hr、1.336μM及び18.4時間であり、健康成人と比べて、AUC0-24hr及びCmaxは高値を示し、t1/2の延長がみられた。高齢不眠症患者及び非高齢不眠症患者に、本剤15mg及び20mgをそれぞれ1日1回反復投与した際の定常状態でのスボレキサントの投与後9時間の血漿中濃度(C9hr)は、それぞれ0.362μM及び0.321μMで同程度であった(外国人データ)。

  1. 16.6.2 腎機能障害

重度腎機能障害患者(CLcr:30mL/min/1.73m2以下)に本剤20mgを単回投与した後のスボレキサントのCmax及びAUCは、健康成人と比較して15%及び22%高かった(外国人データ)。

  1. 16.6.3 肝機能障害

中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア7~9)に本剤20mgを単回投与した後のスボレキサントのCmaxは、健康成人と比較して6%低く、AUCは3%高かった。重度肝機能障害患者(Child-Pughスコア10~15)での薬物動態は検討していない(外国人データ)。

  1. 16.6.4 BMI

本剤20mgを不眠症患者に反復投与した際の定常状態でのスボレキサントのC9hrは、低体重患者(BMI:18.5kg/m2未満、6例)で0.171μM、標準BMI(18.5kg/m2以上、25kg/m2未満、139例)の患者で0.323μM、前肥満患者(BMI:25kg/m2以上、30kg/m2未満、94例)で0.384μM及び肥満患者(BMI:30kg/m2以上、42例)で0.353μMであった(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 アルコール

健康成人30例に本剤40mg及びアルコール0.70g/kgを併用単回投与した際、精神運動機能の相加的な低下がみられた1)(外国人データ)。

  1. 16.7.2 スボレキサントの薬物動態に対する併用薬の影響

  2. (1) ケトコナゾール

本剤(4mg単回)とCYP3Aを強く阻害するケトコナゾール(400mg 1日1回経口反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは23%及び179%増加した(外国人データ)。,

  1. (2) ジルチアゼム

本剤(20mg単回)とジルチアゼム(240mg 1日1回反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは22%及び105%増加した(外国人データ)。,

  1. (3) リファンピシン

本剤(40mg単回)とリファンピシン(600mg 1日1回反復)を併用した際、スボレキサントのCmax及びAUCは64%及び88%減少した(外国人データ)。

  1. 16.7.3 併用薬の薬物動態に対するスボレキサントの影響

  2. (1) In vitro代謝試験

スボレキサントはCYP3A及び腸管のP糖蛋白を阻害する可能性があることが示されている。他のヒトCYP分子種(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6)及びトランスポーター(OATP1B1、BCRP、OCT2)に対しては、臨床的に意味のある阻害を生じる可能性は低いと考えられる。スボレキサントを反復投与することによって、主にCYP分子種によって代謝される薬剤の代謝を誘導する可能性は低い。

  1. (2) ジゴキシン(P糖蛋白基質)

本剤(40mg 1日1回反復)とジゴキシン(0.5mg単回)を併用した際、ジゴキシンのCmax及びAUCは21%及び27%増加した。スボレキサント投与時のジゴキシン濃度は最初の6時間以内に増加した(外国人データ)。

注)本剤の承認用量は成人には1日20mg、高齢者には1日15mgである。