【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 てんかん等の脳波異常のある患者[脳波異常を増悪させることがある。]

  2. 2.2 重篤な心疾患のある患者[心疾患を増悪し、重篤な心機能障害を引き起こすおそれがある。]

  3. 2.3 リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にある患者[リチウムの毒性を増強するおそれがある。]

  4. 2.3.1 腎障害のある患者

  5. 2.3.2 衰弱又は脱水状態にある患者

  6. 2.3.3 発熱、発汗又は下痢を伴う疾患のある患者

  7. 2.3.4 食塩制限患者

  8. 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

躁病および躁うつ病の躁状態

用法・用量

炭酸リチウムとして、成人では通常1日400~600mgより開始し、1日2~3回に分割経口投与する。以後3日ないし1週間毎に、1日通常1,200mgまでの治療量に漸増する。 改善がみられたならば症状を観察しながら、維持量1日通常200~800mgの1~3回分割経口投与に漸減する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1 めまい、ねむけ等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械類の操作に従事させないよう注意すること。

  2. 8.2 改善がみられたならば、症状を観察しながら維持量に漸減すること。躁症状の発現時には本剤に対する耐容性が高く、躁症状が治まると耐容性が低下する。

  3. 8.3 他の向精神薬(フェノチアジン系、ブチロフェノン系薬剤等)との併用中に中毒を発現すると、非可逆性の小脳症状又は錐体外路症状を起こすことがあるので、これらの薬剤を併用する場合には観察を十分に行い慎重に投与すること。

  4. 8.4 本剤でBrugada症候群に特徴的な心電図変化(右側胸部誘導(V1~V3)のcoved型ST上昇)が顕在化したとの報告がある。なお、それに伴う心室細動、心室頻拍、心室性期外収縮等が発現することがあるので、Brugada型心電図が疑われた患者に投与する際は、循環器を専門とする医師に相談するなど、慎重に投与の可否を検討すること。

  5. 8.5 患者及びその家族に、本剤投与中に食事及び水分摂取量不足、脱水を起こしやすい状態、非ステロイド性消炎鎮痛剤等を併用する場合等ではリチウム中毒が発現する可能性があることを十分に説明し、中毒の初期症状があらわれた場合には医師の診察を受けるよう、指導すること。,,,,,

  6. 8.6 急性腎障害、間質性腎炎、ネフローゼ症候群があらわれることがあるため、腎機能検査(血中クレアチニン、血中尿素窒素、尿蛋白等の測定)を行うなど、観察を十分に行うこと。

  7. 8.7 甲状腺機能低下症、甲状腺炎があらわれることがあるため、甲状腺機能検査(血中TSH、血中遊離T3、血中遊離T4等の測定)を行うなど、観察を十分に行うこと。

  8. 8.8 副甲状腺機能亢進症があらわれることがあるため、血清カルシウムの測定を行うなど、観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 脳に器質的障害のある患者

神経毒性があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.2 心疾患の既往歴のある患者

心機能障害を引き起こすおそれがある。

  1. 9.1.3 食事及び水分摂取量不足の患者

リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にあり、リチウム中毒を起こすおそれがある。,

  1. 9.1.4 甲状腺機能亢進又は低下症の患者

甲状腺機能低下を起こすおそれがあるため、甲状腺機能亢進症の診断を誤らせる可能性がある。また、甲状腺機能低下症を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.5 リチウムに異常な感受性を示す患者

血清リチウム濃度が1.5mEq/L以下でも中毒症状があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 腎障害のある患者

投与しないこと。リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にある。リチウムの毒性を増強するおそれがある。

  1. 9.2.2 腎障害の既往歴のある患者

リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にあり、リチウム中毒を起こすおそれがある。,

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 肝障害のある患者

肝障害を増悪させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット・マウス)で催奇形作用が、またヒトで心臓奇形の発現頻度の増加が報告されている。妊娠末期の女性では、分娩直前に血清リチウム濃度の異常上昇を起こすことがある。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。ヒトで母乳を介した児への移行が確認されている。母乳栄養児の血清リチウム濃度は母親の1/3から1/2であったとの報告がある1)。母乳を介したリチウム曝露により、児にチアノーゼ、嗜眠、心電図T波逆転などのリチウム中毒の兆候があらわれたとの報告がある2)(海外症例)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。小児等には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能等)が低下しており、リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にあるため、リチウム中毒を起こすおそれがある。,

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
そう痒感毛囊炎下肢潰瘍毛髪の乾燥及び粗毛化脱毛乾癬 頻度不明
その悪化 頻度不明
めまいねむけ言語障害 頻度不明
一過性暗点ブラックアウト発作情動不安せん妄 頻度不明
口渇嘔気・嘔吐下痢食欲不振胃部不快感 頻度不明
多尿 頻度不明
心電図異常血圧低下頻脈不整脈 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿困難乏尿頻尿腎機能異常 頻度不明
末梢循環障害 頻度不明
浮腫体重増加・減少性欲減退 頻度不明
甲状腺131I摂取率の増加及びTRH負荷後のTSH分泌反応の増大) 頻度不明
甲状腺機能異常(血中TSH 頻度不明
白血球増多 頻度不明
皮疹 頻度不明
肝機能異常 頻度不明
脱力・倦怠感 頻度不明
腹痛便秘唾液分泌過多胃腸障害 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
血中遊離T3 頻度不明
血中遊離T4の上昇・低下 頻度不明
血糖上昇脱水味覚異常(苦味等) 頻度不明
運動過少舞踏病様アテトーシス頭蓋内圧亢進 頻度不明
運動障害緊張亢進・低下腱反射亢進筋攣縮 頻度不明
非中毒性甲状腺腫粘液水腫甲状腺中毒症注2) 頻度不明
頭痛発熱不眠脳波異常(基礎波の徐波化等)知覚異常記憶障害焦躁感失禁悪寒耳鳴 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

リチウムは中枢神経系における、NA作動系、DA作動系、5-HT作動系において、きわだった作用機序になるものはなく、多くの作用が複合的に関連して作用するものと推測されている16)。

18.2 自発運動抑制作用

回転カゴ法およびAnimex法で、リチウム0.54~2.71mmol/kg/日をマウス(ddY系雄)に7日間腹腔内連続投与した場合、用量依存の自発運動抑制が認められる。しかし、回転棒法では抑制がみられないことから、その抑制作用は筋弛緩作用によるものではないことが示唆される17)。

18.3 興奮性薬物に対する拮抗作用

マウス(ddN系雄)では、メタンフェタミン、メスカリン等の興奮性薬物に対して、リチウムは拮抗作用を示す18)。

18.4 条件回避反応抑制作用

Sidman型条件回避行動において、リチウムは学習良好および不良ラット(Wistar系雄)共に、回避反応回数を軽度に減少させる19)。

18.5 闘争行動抑制作用

Foot ShockあるいはIsolationによって生ずるマウス(ddN系雄)の闘争行動に対してリチウムは強い抑制作用を示し、ED50は各々、1.49、0.75mmol/kgである。また、カタレプシー作用は弱い18)。

18.6 神経伝達物質の代謝に対する作用

シナプスにおける脳内モノアミンの動態とリチウムとの関係をまとめた13)。

  • 脳内アミンの生成抑制作用

  • シナプス小胞のアミン貯蔵能を低下させ細胞内へのアミン放出促進とMAOによる代謝増加作用

  • シナプス間隙への放出抑制作用

  • 活性アミンの再取り込み促進作用

  • adenylate cyclaseやcyclic-AMPなどに作用し、アミンに対する受容体の感受性調節作用

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 血漿中濃度

健康成人に炭酸リチウム200mgを単回経口投与した場合の各パラメータを以下に示す3)。

AUC (mEq・hr/L) Cmax (mEq/L) Tmax (hr) T1/2 (hr)
成人(n=5) 2.26 0.22 2.6 18
  1. 16.1.2 生物学的同等性

健康成人男性12名に炭酸リチウム錠100mg「フジナガ」2錠とリーマス錠100 2錠(炭酸リチウムとして200mg)、炭酸リチウム錠200mg「フジナガ」1錠とリーマス錠200 1錠を2剤2期のクロスオーバー法により絶食単回経口投与してHPLC法にて血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された4)。

AUC(0-55hr) (hr・ng/mL) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) T1/2 (hr)
炭酸リチウム錠100mg「フジナガ」 2.89±0.27 0.25±0.04 1.6±1.2 16.0±2.1
リーマス錠100 2.85±0.34 0.23±0.04 1.8±0.6 15.9±2.2
(Mean±S.D., n=12)
AUC(0-55hr) (hr・ng/mL) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) T1/2 (hr)
炭酸リチウム錠200mg「フジナガ」 2.91±0.35 0.24±0.02 1.5±0.6 14.8±0.8
リーマス錠200 2.84±0.26 0.22±0.04 1.9±0.7 14.5±0.6
(Mean±S.D., n=12)

血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

ラット(Wistar系)に炭酸リチウム100mg/kgを単回投与すると、甲状腺、下垂体、腎臓へは速やかに移行し、血中濃度よりも高い濃度を示すが、大脳、筋肉へのリチウムの分布は緩徐で、血中濃度と同等もしくはそれ以下であった5),6)。また、5、12、19日間炭酸リチウム100mg/kgを反復投与した場合、血中より高いリチウム濃度が維持された臓器は、甲状腺、骨、脳であった5),6)。

16.5 排泄

健康成人に炭酸リチウムを単回経口投与したとき、200mgでは24時間以内に投与量の約60%が尿中に排泄された3)。400mgでは128時間までに投与量の94.6%が尿中に排泄された7)。