- 下記の状態で他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合
頻脈性不整脈
2.1 うっ血性心不全のある患者[不整脈(心室頻拍、心室細動等)の誘発又は増悪、陰性変力作用による心不全の悪化を来すおそれが高い。]
2.2 高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者[刺激伝導抑制作用により、これらの障害を更に悪化させるおそれがある。]
頻脈性不整脈
8.1 本剤の投与に際しては、頻回に患者の状態を観察し、心電図、脈拍、血圧、心胸比を定期的に調べること。PQの延長、QRS幅の増大、QTの延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。
8.2 1日用量150mgを超えて投与する場合は副作用発現の可能性が増大するので注意すること。
8.3 本剤でBrugada症候群に特徴的な心電図変化(右脚ブロック及び右側胸部誘導(V1~V3)のST上昇)の顕在化又はそれに伴う心室細動、心室頻拍、心室性期外収縮を発現させたとの報告があるので注意すること。
8.4 めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
心不全を来すおそれのある患者では、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。また、開始後1~2週間は入院させること。心室頻拍、心室細動等が発現するおそれが高い。なお、心筋梗塞発症後の無症候性あるいは軽度の症状を伴う患者の場合は、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
心不全を来すおそれがある。
刺激伝導抑制作用により、これらの障害を更に悪化させるおそれがある。
高度の徐脈、洞停止を来すおそれがある。
催不整脈作用が発現するおそれがある。
少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。
ペースメーカー使用中の患者に投与する場合は適当な間隔でペーシング閾値を測定すること。また、異常が認められた場合には直ちに減量又は投与を中止すること。本剤は心臓ペーシング閾値を上昇させる可能性がある。
投与量を減量するか、投与間隔をあけて使用すること。また、頻回に心電図検査を実施すること。本剤は腎臓からの排泄により体内から消失する薬剤であり、血中濃度が高くなりやすく、また高い血中濃度が持続しやすい。
,
AST、ALT、LDH等の上昇が報告されている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で静脈内投与した場合、胎児に移行することが報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
入院させて本剤の投与を開始することが望ましい。少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。肝・腎機能が低下していることが多く、また体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい。
| 副作用名 | 頻度 | 症状・説明 |
|---|---|---|
| ALT上昇 | 1〜5%未満 | — |
| AST上昇 | 1〜5%未満 | — |
| BUN上昇 | 頻度不明 | — |
| CK上昇 | 1〜5%未満 | — |
| LDH上昇 | 1〜5%未満 | — |
| QRS幅の増大 | 1〜5%未満 | — |
| QT延長 | 1〜5%未満 | — |
| クレアチニン上昇 | 頻度不明 | — |
| しびれ | 頻度不明 | — |
| そう痒感 | 頻度不明 | — |
| めまい | 1〜5%未満 | — |
| リンパ球減少 | 1〜5%未満 | — |
| 上室性期外収縮 | 1〜5%未満 | — |
| 上室性頻拍 | 1〜5%未満 | — |
| 下痢 | 1〜5%未満 | — |
| 不眠 | 頻度不明 | — |
| 便秘 | 頻度不明 | — |
| 全身倦怠感 | 1〜5%未満 | — |
| 動悸 | 1〜5%未満 | — |
| 口渇 | 1〜5%未満 | — |
| 嘔吐 | 1〜5%未満 | — |
| 好酸球増加 | 1〜5%未満 | — |
| 尿蛋白陽性 | 頻度不明 | — |
| 徐脈 | 頻度不明 | — |
| 心室性期外収縮 | 1〜5%未満 | — |
| 心房粗動 | 頻度不明 | — |
| 心房細動 | 1〜5%未満 | — |
| 悪心 | 1〜5%未満 | — |
| 房室ブロック | 1〜5%未満 | — |
| 振戦 | 頻度不明 | — |
| 排尿困難 | 頻度不明 | — |
| 洞房ブロック | 1〜5%未満 | — |
| 熱感 | 頻度不明 | — |
| 発疹 | 1〜5%未満 | — |
| 白血球数減少 | 頻度不明 | — |
| 眠気 | 1〜5%未満 | — |
| 胃痛 | 1〜5%未満 | — |
| 胸痛 | 頻度不明 | — |
| 胸部不快感 | 1〜5%未満 | — |
| 脱力感 | 1〜5%未満 | — |
| 腹部不快感 | 1〜5%未満 | — |
| 蕁麻疹 | 1〜5%未満 | — |
| 血圧低下 | 頻度不明 | — |
| 血小板数減少 | 頻度不明 | — |
| 頭痛 | 1〜5%未満 | — |
| 食欲不振 | 頻度不明 | — |
ピルシカイニドは、Vaughan Williamsらの分類のクラスIcに属する不整脈治療剤で、Naチャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す。Sicilian Gambitの提唱する薬剤分類(日本版)において、ピルシカイニドはNaチャンネルを選択的に抑制し、K、Caチャンネル並びにα、β及びムスカリン受容体などには影響を与えないものとして位置づけられる17) 。
発作性上室性頻拍の患者にピルシカイニド塩酸塩水和物150mg又は200mgを単回経口投与した場合、洞房伝導(SA)時間、房室結節内伝導(AH)時間、心室内伝導(HV)時間を延長させた。また、右室の有効不応期を延長させた18) 。
発作性上室性頻拍の患者にピルシカイニド塩酸塩水和物150mg又は200mgを単回経口投与した場合、心拍数及び平均肺動脈圧は有意に増加し、一回拍出係数は有意に減少したがいずれも正常範囲内であった18) 。
18.4.1 イヌの冠動脈二段結紮による実験的不整脈を抑制した19),20) 。
18.4.2 イヌのアコニチン、ウアバイン及びアドレナリンによって誘発された実験的不整脈を抑制した20),21) 。
18.4.3 イヌの冠動脈閉塞中及び再灌流中に発生する心室性不整脈を抑制した22) 。
モルモット乳頭筋において、静止膜電位にほとんど影響を与えることなく、最大脱分極速度(Vmax)を用量依存的に抑制した23) 。
モルモット乳頭筋の活動電位持続時間(APD)及び有効不応期(ERP)に影響を与えなかった23) 。
イヌにおいて電気刺激による心室細動の発生閾値を上昇させた22) 。
イヌのプルキンエ線維においてアセチルストロファンチジンで誘発される遅延後脱分極及び誘発自動能を抑制した24) 。
イヌ冠動脈二段結紮不整脈に対する2-ヒドロキシメチル体の抗不整脈作用強度はピルシカイニド塩酸塩水和物の約1/4~1/10であった19) 。
| 投与量 (mg) | 例数 | Tmax (hr) | Cmax (μg/mL) | t1/2 (hr) | AUC (μg・hr/mL) |
|---|---|---|---|---|---|
| 25 | 2 | 1.61±0.01 | 0.150±0.002 | 4.4±0.39 | 1.278±0.080 |
| 50 | 8 | 1.22±0.18 | 0.356±0.027 | 4.8±0.34 | 2.975±0.112 |
| 100 | 8 | 1.06±0.18 | 0.650±0.029 | 4.9±0.37 | 5.238±0.307 |
| (平均±SE) | |||||
なお、ピルシカイニド塩酸塩水和物の有効血漿中濃度は0.2~0.9μg/mLと報告されている3),4) 。
ピルシカイニド塩酸塩カプセル25mg「TCK」とサンリズムカプセル25mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(ピルシカイニド塩酸塩水和物25mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された5)。
| 判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
|---|---|---|---|---|
| AUC0→24hr (ng・hr/mL) | Cmax (ng/mL) | Tmax (hr) | T1/2 (hr) | |
| ピルシカイニド塩酸塩カプセル25mg「TCK」 | 1533.87±247.91 | 215.21±28.79 | 1.45±0.46 | 4.53±0.75 |
| サンリズムカプセル25mg | 1531.83±308.37 | 214.29±31.47 | 1.38±0.43 | 4.63±0.82 |
| (Mean±S.D.,n=20) | ||||
ピルシカイニド塩酸塩カプセル50mg「TCK」とサンリズムカプセル50mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(ピルシカイニド塩酸塩水和物50mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された6)。
| 判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
|---|---|---|---|---|
| AUC0→24hr (ng・hr/mL) | Cmax (ng/mL) | Tmax (hr) | T1/2 (hr) | |
| ピルシカイニド塩酸塩カプセル50mg「TCK」 | 2908.48±527.23 | 435.18±126.07 | 1.43±0.37 | 5.39±0.52 |
| サンリズムカプセル50mg | 3069.54±592.26 | 445.27±91.59 | 1.45±0.36 | 5.45±0.63 |
| (Mean±S.D.,n=20) | ||||
ラットに14C-ピルシカイニド塩酸塩水和物を経口投与したとき、主に十二指腸から吸収され、主として肝臓、腎臓に分布し、脳への分布は少なかった7),8) 。 また、ラットに14C-ピルシカイニド塩酸塩水和物を静脈内投与したとき、胎児及び乳汁中には母体の血漿中濃度とほぼ同程度かあるいはそれ以上の移行が認められた9) 。
ヒト血漿蛋白結合率は、1.0μg/mL以下の濃度で約35%と一定であったが、50μg/mLでは約20%に低下した10) (in vitro)。
健康成人ではピルシカイニド塩酸塩水和物は代謝されにくい。 代謝物2-ヒドロキシメチル体の生成に関与するヒト肝チトクロームP450分子種を検討したところ、CYP2D6により上記代謝物の生成が僅かに認められた11),12) 。
健康成人男性18例にピルシカイニド塩酸塩水和物25mg、50mg及び100mg注1) を空腹時単回経口投与したとき、24時間以内に75~86%が未変化体として尿中に排泄された。また50mg、100mg投与群においては、24時間以内に4.5~6.5%が代謝物2-ヒドロキシメチル体として尿中に排泄された2) 。
ピルシカイニド塩酸塩水和物は腎排泄型の薬剤であり、次のように腎機能障害患者、腎機能が低下している高齢者では半減期が延長する。したがって内因性クレアチニンクリアランス(CLcr)を指標とした障害の程度に応じて、投与間隔をあけるかあるいは症例によって投与量を減じるなど、用法及び用量に十分注意する必要がある13) 。 50≦CLcr:半減期は腎機能正常例とほぼ同じ。 20≦CLcr<50:半減期は腎機能正常例に比し約2倍に延長する。 CLcr<20:半減期は腎機能正常例に比し約5倍に延長する。
| 腎機能CLcr (mL/min) | 例数 | Tmax (hr) | Cmax (μg/mL) | t1/2 (hr) | Vd (L/kg) | CLtot (mL/min) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| CLcr≧80 | 6 | 3.1±0.6 | 0.41±0.08 | 3.4±0.2 | 1.48±0.19 | 280.0±37.5 |
| 80>CLcr≧50 | 10 | 2.7±0.8 | 0.46±0.03 | 5.7±0.3 | 1.46±0.11 | 182.8±11.8 |
| 50>CLcr≧20 | 8 | 3.1±0.8 | 0.51±0.05 | 9.3±1.1 | 1.70±0.15 | 123.4±19.3 |
| 20>CLcr | 8 | 3.8±0.7 | 0.63±0.05 | 23.7±2.0 | 1.46±0.11 | 38.8±4.6 |
| (平均±SE) | ||||||
注1)本剤の承認された用法及び用量は、1日150~225mgを3回に分けて投与である。