作用機序
18.1 作用機序
レボフロキサシン錠は、ラセミ体であるオフロキサシンの一方の光学活性S体であるレボフロキサシンの水和物を含有するニューキノロン系経口抗菌製剤で、細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣに作用し、DNA複製を阻害する。DNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣ阻害活性はオフロキサシンの約2倍の強さであった36),37),38),39),40),41)。抗菌作用は殺菌的であり36),42)、MIC付近の濃度で溶菌が認められた43)。
18.2 抗菌作用
レボフロキサシンは、嫌気性菌を含むグラム陽性菌群及びグラム陰性菌群に対し、広範囲な抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、ならびに大腸菌、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属を含む腸内細菌科、緑膿菌を含むブドウ糖非発酵グラム陰性菌群、淋菌、インフルエンザ菌、レジオネラ属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌などに強力な抗菌活性を示した。また、炭疽菌、結核菌、ペスト菌、ブルセラ属、野兎病菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)に対しても抗菌力を示した。実験的マウス感染治療試験において、レボフロキサシンは優れた治療効果を示した36),42),44),45),46),47),48),49),50),51),52),53),54),55),56)。
18.3 耐性化に及ぼす用法及び用量の影響
In vitroでヒト血中濃度推移を培地中に再現したモデルにおいて、500mg1日1回投与は100mg1日3回投与と比較して、肺炎球菌及び大腸菌の耐性菌出現を抑制した56)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1 生物学的同等性試験
- レボフロキサシン錠500mg「タカタ」とクラビット錠500mgをクロスオーバー法により、健康成人男子20名にそれぞれ1錠(レボフロキサシンとして500mg)を空腹時に単回経口投与し、投与前、投与後0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、2、3、4、8、12及び24時間に前腕静脈から採血した。HPLC法により測定したレボフロキサシンの血漿中濃度の推移及びパラメータは次のとおりであり、統計解析にて90%信頼区間を求めた結果、判定パラメータの対数値の平均値の差はlog(0.80)~log(1.25)の範囲にあり、両剤の生物学的同等性が確認された5)。図16-1 血漿中濃度
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判定パラメータ |
参考パラメータ |
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| AUCt (μg・hr/mL) |
Cmax (μg/mL) |
tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
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| レボフロキサシン錠500mg「タカタ」 |
51.57±6.46 |
7.95±2.20 |
1.1±0.7 |
7.1±0.9 |
| クラビット錠500mg |
50.26±5.79 |
7.26±1.78 |
0.9±0.3 |
6.9±1.0 |
| (Mean±S.D., n=20) |
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血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
- 16.3.1 日本人における成績
患者にレボフロキサシンとして500mgを単回経口投与した場合、口蓋扁桃(投与後2.6~4.1時間で対血漿中濃度比:1.42~1.89)、前立腺(投与後2.9~4.0時間で対血漿中濃度比:0.76~1.58)、耳漏(投与後1~4時間で対血漿中濃度比:0.40~0.88)、上顎洞粘膜(投与後2.3~5.8時間で対血漿中濃度比:0.89~2.29)、鼻汁(投与後1~4時間で対血漿中濃度比:0.11~1.39)であり、高い移行性を示した。
なお、健康成人又は患者にレボフロキサシン水和物として100mg又は200mg注)を単回経口投与した場合、皮膚(投与後0.8~4時間で対血清中濃度比:平均1.1)、唾液(対血清中濃度比:約0.7)、口蓋扁桃(対血清中濃度比:約2)、喀痰(対血清中濃度比:0.8~1.1)、前立腺(投与後1~6時間で対血清中濃度比:0.8~1.9)、前立腺液(投与後1.5~4時間で対血清中濃度比:約0.6)、房水(投与後2~9時間で対血清中濃度比:0.14~0.31)、涙液(100mg投与で最高濃度0.61μg/mL)、耳漏(投与後2時間で対血清中濃度比:0.6)、上顎洞粘膜(投与後2~6時間で対血清中濃度比:1.1~1.9)、女性性器(100mg投与後3~4時間で0.6~2.1μg/g)に移行性を示した6),7),8),9),10),11),12)。
- 16.3.2 外国人における成績
健康成人又は患者にレボフロキサシンとして500mgを単回経口投与した場合、炎症性滲出液(投与後0.5~24時間で対血漿中濃度比:0.2~1.5)、気管支粘膜(投与後0.5~8時間で対血漿中濃度比:0.9~1.8)、気管支肺胞洗浄液(投与後0.5~8時間で対血漿中濃度比:1.1~3.0)、肺マクロファージ(投与後0.5~24時間で対血漿中濃度比:4.1~18.9)、肺組織(投与後2.28~25.43時間で対血漿中濃度比:1.06~9.98)に移行性を示した13)。
- 16.3.3 血漿蛋白結合率
レボフロキサシン1~50μg/mLのin vitroでのヒト血漿蛋白結合率は、限外ろ過法で約26~36%であった14)。
16.4 代謝
- 16.4.1 尿中代謝物
健康成人にレボフロキサシン水和物として100mg注)を単回経口投与した場合、投与後24時間までの累積尿中排泄率は、未変化体が投与量の79.6%、脱メチル体が1.75%、N-オキサイド体が1.63%であった15)。
- 16.4.2 胆汁中代謝物
患者4例にレボフロキサシン水和物として100mg注)を単回経口投与後2~3.5時間での胆嚢胆汁中グルクロン酸抱合体濃度は0.05~0.44μg/mLであり、未変化体に対する割合は3.9~25.8%であった。また、胆管胆汁中にもほぼ同程度のグルクロン酸抱合体が認められた16)。
16.5 排泄
健康成人にレボフロキサシンとして500mgを単回経口投与した場合、投与後0~24時間の尿中濃度は、138.8~877.7μg/mLであり、投与後72時間までに投与量の83.76%が未変化体として尿中に排泄された。レボフロキサシンは、主に未変化体の尿中排泄によって体内から消失する17)。
また、健康成人男性5例にレボフロキサシン水和物として200mg注)を食後投与した場合、糞中には投与後72時間で投与量の3.9%が未変化体として排泄された18)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1 腎機能障害患者
CLcr値により群分けし、レボフロキサシン500mgを空腹時単回経口投与した場合、腎機能の低下に伴い血漿中濃度の生物学的半減期の延長、尿中濃度の低下及び尿中排泄率の低下が認められた19)。,,
| CLcr (mL/min) |
患者数 |
t1/2 (hr) |
AUC0-72hr (μg・hr/mL) |
尿中排泄率(%) (0~48hr) |
| 50≦CLcr |
11 |
9.17±1.28 |
81.74±20.78 |
80.02±6.08 |
| 20≦CLcr<50 |
7 |
15.88±3.79 |
150.96±18.03 |
56.39±13.51 |
| CLcr<20 |
4 |
33.69±14.57 |
250.66±58.30 |
28.28±11.83 |
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16.7 薬物相互作用
- 16.7.1 アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸薬等、鉄剤
レボフロキサシン100mg注)単回経口投与時に、水酸化アルミニウム(1g)、硫酸鉄(160mg)又は酸化マグネシウム(500mg)を併用投与した場合、レボフロキサシンのバイオアベイラビリティーは単回投与に比較し、それぞれ56%、81%及び78%に減少した。また、Cmaxも有意に低下した20)。
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16.7.2 その他の薬剤
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(1) シメチジン、プロベネシド
健康成人に、シメチジン400mgを1日2回7日間又はプロベネシド500mgを1日4回7日間投与し、4日目にレボフロキサシン500mgを空腹時単回経口投与した。シメチジン又はプロベネシドとの併用によりレボフロキサシンのAUC0-72hrはそれぞれ27.0%及び38.2%上昇し、t1/2はそれぞれ30.5%及び31.8%延長したが、Cmaxに影響はみられなかった21)(外国人データ)。
注)本剤の承認された用量は、レボフロキサシンとして500mgである。
16.8 その他
レボフロキサシン錠250mg「タカタ」はレボフロキサシン錠500mg「タカタ」と含量が異なる製剤として開発されたことから、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」に基づき、溶出挙動を比較したところレボフロキサシン錠500mg「タカタ」と同等と判断され、両剤は生物学的に同等とみなされた5)。