「サイラムザ点滴静注液 100 mg・500 mg」の版間の差分
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'''規制区分:''' 生物由来製品、劇薬、処方箋医薬品 | '''規制区分:''' 生物由来製品、劇薬、処方箋医薬品 | ||
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- 治癒切除不能な進行・再発の胃癌 | - 治癒切除不能な進行・再発の胃癌 | ||
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌 | - 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌 | ||
- 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌 | - 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌 | ||
- がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400 ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌 | - がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400 ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌 | ||
'''用法・用量:''' | '''用法・用量:''' | ||
- '''胃癌・肝細胞癌:''' 2週間に1回、ラムシルマブとして1回8 mg/kgを60分かけて点滴静注 | - '''胃癌・肝細胞癌:''' 2週間に1回、ラムシルマブとして1回8 mg/kgを60分かけて点滴静注 | ||
- '''結腸・直腸癌:''' FOLFIRI(イリノテカン+ホリナート+フルオロウラシル)との併用で2週間に1回、ラムシルマブ8 mg/kgを点滴静注 | - '''結腸・直腸癌:''' FOLFIRI(イリノテカン+ホリナート+フルオロウラシル)との併用で2週間に1回、ラムシルマブ8 mg/kgを点滴静注 | ||
- '''非小細胞肺癌:''' ドセタキセルまたはエルロチニブ併用で、3週間に1回または2週間に1回、ラムシルマブ10 mg/kgを点滴静注 | - '''非小細胞肺癌:''' ドセタキセルまたはエルロチニブ併用で、3週間に1回または2週間に1回、ラムシルマブ10 mg/kgを点滴静注 | ||
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'''重大な副作用と発生頻度:''' | '''重大な副作用と発生頻度:''' | ||
- '''動脈血栓塞栓症''' | - '''動脈血栓塞栓症''' | ||
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- '''Infusion reaction(発生頻度1-5%)''' | - '''Infusion reaction(発生頻度1-5%)''' | ||
- '''消化管穿孔''' | - '''消化管穿孔''' | ||
- '''重篤な出血(脳出血・消化管出血)''' | - '''重篤な出血(脳出血・消化管出血)''' | ||
- '''好中球減少症(発熱性好中球減少症を含む)''' | - '''好中球減少症(発熱性好中球減少症を含む)''' | ||
- '''蛋白尿・腎機能障害''' | - '''蛋白尿・腎機能障害''' | ||
- '''肝機能障害''' | - '''肝機能障害''' | ||
- '''間質性肺疾患(ILD)''' | - '''間質性肺疾患(ILD)''' | ||
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- 高血圧(10%以上) | - 高血圧(10%以上) | ||
- 浮腫(10%以上) | - 浮腫(10%以上) | ||
- 発疹(1-5%) | - 発疹(1-5%) | ||
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- '''Infusion reaction:''' 直ちに投与中止し、抗ヒスタミン薬やステロイドを投与 | - '''Infusion reaction:''' 直ちに投与中止し、抗ヒスタミン薬やステロイドを投与 | ||
- '''消化管穿孔:''' 投与中止、外科的処置を検討 | - '''消化管穿孔:''' 投与中止、外科的処置を検討 | ||
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A1. '''臨床試験データでは2週間または3週間間隔での投与が推奨されている。個別の患者状態に応じた調整が必要''' | A1. '''臨床試験データでは2週間または3週間間隔での投与が推奨されている。個別の患者状態に応じた調整が必要''' | ||
'''Q2. 副作用リスクが高いのはどのような患者か?''' | '''Q2. 副作用リスクが高いのはどのような患者か?''' | ||
A2. '''高血圧、動脈硬化、高齢者、抗凝固薬使用者はリスクが高い''' | A2. '''高血圧、動脈硬化、高齢者、抗凝固薬使用者はリスクが高い''' | ||
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2025年3月19日 (水) 11:38時点における最新版
基本情報
販売名: サイラムザ点滴静注液 100 mg・500 mg
一般名: ラムシルマブ(遺伝子組換え) (Ramucirumab, Genetical Recombination)
製造販売元: 日本イーライリリー株式会社
薬効分類: 抗悪性腫瘍剤(ヒト型抗VEGFR-2モノクローナル抗体製剤)
規制区分: 生物由来製品、劇薬、処方箋医薬品
クリニカルエビデンス
主要臨床試験:
- RAINBOW試験(進行胃癌)
- 対象: 既治療の進行胃癌患者 - 結果: 全生存期間(OS)の中央値はラムシルマブ+パクリタキセル群で9.6ヵ月、プラセボ群で7.4ヵ月(HR=0.81, p=0.0169)
- REVEL試験(非小細胞肺癌)
- 対象: 既治療の切除不能な非小細胞肺癌患者 - 結果: OS中央値はラムシルマブ+ドセタキセル群で10.5ヵ月、プラセボ群で9.1ヵ月(HR=0.86, p=0.024)
- REACH-2試験(肝細胞癌)
- 対象: ソラフェニブ治療歴があるAFP 400 ng/mL以上の肝細胞癌患者 - 結果: OS中央値はラムシルマブ群8.5ヵ月、プラセボ群7.3ヵ月(HR=0.71, p=0.0199)
効能・用法
適応症:
- 治癒切除不能な進行・再発の胃癌
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400 ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌
用法・用量:
- 胃癌・肝細胞癌: 2週間に1回、ラムシルマブとして1回8 mg/kgを60分かけて点滴静注
- 結腸・直腸癌: FOLFIRI(イリノテカン+ホリナート+フルオロウラシル)との併用で2週間に1回、ラムシルマブ8 mg/kgを点滴静注
- 非小細胞肺癌: ドセタキセルまたはエルロチニブ併用で、3週間に1回または2週間に1回、ラムシルマブ10 mg/kgを点滴静注
副作用とその管理
重大な副作用と発生頻度:
- 動脈血栓塞栓症
- 静脈血栓塞栓症
- Infusion reaction(発生頻度1-5%)
- 消化管穿孔
- 重篤な出血(脳出血・消化管出血)
- 好中球減少症(発熱性好中球減少症を含む)
- 蛋白尿・腎機能障害
- 肝機能障害
- 間質性肺疾患(ILD)
その他の副作用:
- 高血圧(10%以上)
- 浮腫(10%以上)
- 発疹(1-5%)
- 頭痛(1-5%)
相互作用情報
併用禁忌:
- 該当なし
併用注意:
- 抗凝固薬(ワルファリン等) → 出血リスク増加
- JAK阻害剤(バリシチニブ等) → 免疫抑制作用の増強
- 血管新生阻害薬(ベバシズマブ等) → 相加作用の可能性
緊急時対応
副作用管理フロー:
- Infusion reaction: 直ちに投与中止し、抗ヒスタミン薬やステロイドを投与
- 消化管穿孔: 投与中止、外科的処置を検討
- 重篤な出血: 出血部位の同定と止血処置
FAQ(よくある質問)
Q1. ラムシルマブの投与間隔を変更できるか?
A1. 臨床試験データでは2週間または3週間間隔での投与が推奨されている。個別の患者状態に応じた調整が必要
Q2. 副作用リスクが高いのはどのような患者か?
A2. 高血圧、動脈硬化、高齢者、抗凝固薬使用者はリスクが高い
Q3. 妊婦への使用は可能か?
A3. 安全性が確立されていないため、妊婦への使用は推奨されない
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